「これは営業じゃない! 業務妨害だ」 迷惑な"AI営業"に中小企業の社長が激怒したワケ《背景にAIの利用拡大》送信先企業にもたらされる3つの問題
(3)アナリティクス精度の低下
見落とされがちだが、問い合わせフォームへのアクセスデータは多くの企業でマーケティング分析に活用されている。しかし営業メールが大量に紛れ込むことで、問い合わせ数やコンバージョン率などの重要指標が歪められてしまう。
「月間の問い合わせ数が前年比で3倍に増えたと喜んでいたら、ほとんどが営業メールだった」と、あるウェブマーケティング担当者は語る。営業メールによって汚染されたデータは、経営判断や予算配分にも誤った影響を与えかねない。
アクセス解析上のノイズが増え、正確なデータ収集が困難になるのだ。当社では私が対応しているので、これは本当に困る出来事だと実感している。
なぜ、こんなことが起きているのか?
もちろん生成AIの影響が大きい。かつては新規営業メールは1本書くだけでも多大な時間と労力がかかったものだ。しかし生成AIがドンドン進化するにつれ、短時間で大量の営業メールを作成・カスタマイズできるようになった。
AIは巧妙で自然な文章を瞬時に量産できる。これまでは低品質ゆえにフィルタで弾かれていた営業スパムも、より人間らしい文面ですり抜けられるようになった。また、AIは送信相手ごとに文面を微調整することまでやる。テンプレート丸出しのスパムよりも、一見すると個別対応らしく装えてしまうのだ。
「フォーム営業」の違法性とモラルの境界線
「フォーム営業は違法ではないか?」
ある総務部長にこう問いかけられたことがある。迷惑メールの送信を規制する法律はあるが、現状、フォーム営業はグレーゾーンで、違法ではないと解釈されるケースが多いようだ。ただ、たとえ法に触れていなくても、相手の業務を不当に妨げる行為はモラル的に大きな問題である。
ちなみに、迷惑にならない営業メール送信のポイントは以下の3つ。
(1)露骨なテンプレート文面は避ける
AIが生成した文章でも、明らかにテンプレートと分かる文面では第一印象が悪い。企業名を間違えるなどの初歩的なミスは論外。各社の事業内容を踏まえた個別の文面作成を心がけるべきだ。
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