「これは営業じゃない! 業務妨害だ」 迷惑な"AI営業"に中小企業の社長が激怒したワケ《背景にAIの利用拡大》送信先企業にもたらされる3つの問題
機械学習でフォーム送信の成功率を日々向上させ、高速かつ高精度に大量送信できるのが売りだ。人手に頼らないため、かえって属人性のない営業が強みなのだという。
しかし多くの場合、相手企業のニーズと噛み合わなくても、ただひたすらにフォーム送信をする。結果的に無差別な迷惑行為(スパム)と認識されてしまっているのが実情だ。
AI営業がもたらす3つの深刻な問題
AIを活用した問い合わせフォーム経由の"営業"行為は、受信する企業側にとって深刻な"業務妨害"となっている。主な問題点は以下の3つだ。
(1)業務時間の損失と精神的ストレス
「毎朝30分は営業メールの選別に時間をとられます。『重要案件』と件名にあるので慌てて開いたら単なる営業でした」
ある営業企画部の担当者が憤っていた。
業務に携わったことがある人ならわかるだろう。営業メールを確認・仕分けるだけでも相当な時間を奪われる。問い合わせフォームから届くメールは、重要なお客様からのメッセージと区別がつかないため、一つひとつ開封・確認する必要があるからだ。
近年はさらに巧妙になり、「お世話になっております」「先日の件について」など既存取引先を装った文面も増えている。
それらしく見せかけた内容にだまされて開封したところ「単なる営業メールだった」とわかったときの失望感は大きい。とても疲れる。担当者に相応の不信感と精神的ストレスを与えていることを、送信元の企業側は理解すべきだろう。
(2)重要な問い合わせの埋没リスク
問い合わせフォームは本来、見込み客や取引先からの重要連絡の窓口だが、営業メールがあふれていると本当に必要な連絡を逃してしまう。ノイズが増えれば増えるほど、真に対応すべきメッセージを見逃す可能性も上昇する。
「実際に商談の問い合わせを営業スパムと勘違いして後回しにし、機会損失になったケースがあります」と、ある製造業の営業部長は打ち明ける。
このようにAI営業の増加は企業の売り上げや信頼関係構築にも悪影響を及ぼしているのだ。
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