「これは営業じゃない! 業務妨害だ」 迷惑な"AI営業"に中小企業の社長が激怒したワケ《背景にAIの利用拡大》送信先企業にもたらされる3つの問題
(2)相手にメリットのある提案に限定する
送り先の業種や事業内容を考慮せず、無差別に送信することも避けるべきだ。たとえば、絶対達成コンサルティングを"ウリ"にしている私の会社に「目標達成できていますか? 新規開拓に困っていませんか?」などとメールを送り付けてくる「自称マーケティングコンサルタント」のようなケースが該当する。
当たり前だが、ターゲット企業をしっかり選定し、本当にニーズがありそうな先にのみアプローチすることが基本だろう。AIに任せきりにせず、送り先の選定には人間の判断が不可欠だ。
(3)適切な頻度とタイミングを守る
反応がないからといって短期間に何度も送信すれば、相手の不快感が増すだけだ。一度送信したら1カ月程度は期間を空ける、新商品やキャンペーンなど重要な連絡がある場合のみ送信するなど、節度あるアプローチが重要だ。
「歯には歯を」ならぬ「AIにはAIを」
では、このような迷惑営業に対して企業はどのように対応すべきなのか?
現在企業側で取られている対策としては、フォームに送信前チェックを導入して営業メールを"けん制"するケースが増えている。
たとえば問い合わせページに「営業目的のご連絡はご遠慮ください」等の注意書きを明示したり、送信ボタンの手前に「※営業メールではない」ことを確認させるチェックボックスを設けることで、ある程度は抑制できる。
興味深いのは、受信した営業メールを自動で振り分け・要約する試みだ。たとえばあるIT企業では、自社サイトの問い合わせフォームと社内チャットを連携させ、フォームからの投稿内容を生成AIで自動分類・サマリー化するシステムを導入している。
このシステムでは日々届く多数の問い合わせを重要度に応じてソートし、要対応のものにはAIが「返信推奨」のタグ付けまでする。これにより担当者は重要案件の見落としを防ぎつつ処理効率を上げられる。
このように"受信側もAIで対抗"する発想は今後普及する可能性がある。まさに「歯には歯を」ならぬ「AIにはAIを」という対策が現状では最も有効かもしれない。
私自身、営業コンサルタントとして、このような相手の業務に支障をきたす営業活動に対して、見て見ぬふりはできない。良識のある営業活動を心がけよう。お客様のことを真摯(しんし)に考え、課題解決型の提案をしようと努力している営業もいるのだから。
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