言葉が出ない・話が理解できない…患者数50万人の《失語症》脳卒中の後遺症で名前すら言えなかった男性(65)が"歌の力"で言葉を取り戻すまで

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「SNSでつながっている当時約3000人の“聴衆”がいると思うと、モチベーションが上がります」と倉谷さんは笑う。歌詞を書いたノートは1年半で3冊になった。

歌詞を書き出したノート(写真:倉谷さん提供)
麻痺のない左手で歌詞を書き出したノート(写真:倉谷さん提供)

このような自主トレを続けた結果、ペースはゆっくりだが、ほぼ不自由なく話せるようになった。

この経験を活かして、2022年からはオンラインによる「失語症の皆様のカラオケコンテスト」の企画発起人になり、言葉をつむぐ会の副会長として、毎年イベントを開催する。今年も9月に決勝を予定している。

倉谷さんが話せるようになった理由

自分の名前すら言えなかった倉谷さんが、どうして話せるようになったのか。鵜飼リハビリテーション病院(愛知県)の言語聴覚士(日本MIT協会チーフトレーナー)の志賀真理子さんは、こう説明する。

「失語症は、脳の左側の言語領域にダメージを受けたときに起こります。一方、歌うときは脳の右側の音楽を認知する領域を活性化させます。このため、歌うように言葉を発することで、左脳の言語機能を右脳に肩代わりさせて言葉を発しやすくします」 

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