「授業料無償化」の裏で家計を蝕む“隠れ教育費”のリアル…公立も私立も関係なくジワリ増えている項目とは?
加えて、公立高校での学習費も大幅に上がっています。高校3年間の負担額はこの10年あまりで60万円以上も増えており、2010年に開始した授業料無償化前の水準に戻りつつあります。
授業料が減っても、他の費用負担が増えてしまっているのです。小中学校と同じく、図書費、学用品費、通学費、修学旅行費、部活動などの費用が上昇していることが主因ですが、それだけではありません。
たとえば学習塾代は、公立高校の生徒の平均支出額は年間38.2万円で、5年前に比べて10万円も増加しています。私立高校の生徒もコロナ禍の2022年には平均支出額が40万円を超えていましたが、直近では公立を下回って(37.5万円)います。
高校の授業料無償化は今年4月から所得制限が撤廃され、家庭の所得にかかわらず全国の公立高校の授業料が実質無償となりました。私立高校に通う場合でも、年間11万8800円の修学支援金は所得にかかわらず受け取れます。
また、私立高校の場合には所得が一定未満であれば支給額が上乗せされていますが、来年度からはこの所得制限が撤廃されます。支給額の上限も、私立高の授業料の全国平均である45万7000円まで引き上げられる予定です。
授業料が軽減されても新たな負担増の懸念
公立・私立共に授業料無償化が拡充されれば、たしかに子育て世帯の家計は助かることでしょう。しかし、授業料が軽減された分が、ほかの出費に転嫁される可能性は今後もありえます。
また、国に先行して私立高校を無償化していた東京都や大阪府では、公立離れや私立校の競争激化が指摘されています。今後は私立校の入学金や施設設備費の値上げ、受験対策のための通塾の増加など、新たな負担増の懸念も考えられます。
子どもの教育費について、これまでは一般的に「公立ならお金がかからない」というイメージが強かったのではないでしょうか。しかしその常識はいま覆りつつあります。
私立でも公的補助を活用して学費を軽減できる余地が出てきた反面、物価高や教育事情の変化によって、公立でも授業料以外の負担増を余儀なくされています。子育てにおいて、教育費の計画は以前にもまして難化しているのです。
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