売れない芸人55歳が「ライブ中に心筋梗塞」から奇跡の生還《生死を分けた驚く理由》 5年前には大腸がんも…2度死にかけて学んだことがある

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「ホストクラブで、シックな服装なのにマニキュアだけ派手な女性客がいて、僕が『綺麗ですね』と褒めたんですね。

それを見ていたナンバー1のホストが、『あなたはマニキュアの色を褒めただけ。僕ならそのマニキュアを選んだ彼女の物語に寄り添います』って言うわけです。どういうことか聞くと、『彼女がそのマニキュアをした理由を探っていって、決断したことに対して褒めるんです』と」

たとえば、女性客には、「そのマニキュアは似合わない」と元彼に言われた過去があったとする。そのためずっと使っていなかったが、自分では気に入っていたので、今日は思い切って塗ってきたーーそんなストーリーがあったとすれば、尋問にならないように優しく引き出して、寄り添い、「自分を解放してあげたんだね」「そんな日を一緒に過ごせてうれしいよ」と、その“決断”を褒めることで、客は一気に心を開いてくれるかもしれない。

病気になった方の辛さや怖さだけでなく、背景にどのような感情や物語があるのか想像し、寄り添うことで信頼につながっていく。ホストに学んだ教えは今、実感を伴ってコラアゲンさんの血肉になっている。

コラアゲンさん
(撮影/今井康一)

病気になって「5勝19敗」

病気になって、失ったものも確かにある。

心筋梗塞のときは、予定していたライブが19本キャンセルになってしまったという。売れない芸人にとってどれだけの痛手か、想像にかたくないが、コラアゲンさんは「命があるだけで勝ち」と前向きだ。

さらに病気がきっかけで、製薬メーカーからの講演依頼など、新規の仕事を5本獲得したことを明かし、「19敗しましたが、5勝19敗まで持ち直しました。あと14本仕事を取ってきたら引き分けです」と笑う。

死にたくないと号泣し、医者や看護師にすがりついた。尋常でない痛みや苦しさも味わい、集中治療室では寝返りすら打てない辛さを経験した。現在は平穏な暮らしを取り戻しているが、また病魔が忍び寄ってくることはあるかもしれない。引き分けどころか、5勝40敗など、コールドゲーム寸前までもし追い込まれてしまったら。

だがそんな悲劇に直面したとしても、病を乗り越えたとき、コラアゲンさんは笑顔でこう言うのではないか。「病気も捨てたもんじゃないです」と。

肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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