すき家《異物混入騒動》で起きうる重大変化。ネズミやゴキブリが混入した今、もはや「ディストピア容器」を批判していられない…

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こうした異物混入事件が企業の信頼を下げることは間違いない事実だが、マスコミの報道が過熱するとどうしても企業全体が傾くように錯覚するバイアスがかかってしまう。

しかし、データをベースに見ると異なる側面が見えてくる。

一部では、本件によってすき家の株価が急落したと報じられている。それは確かなのだが、そう書いたブルームバーグの記事では「(2025年)2月13日以来の安値」とあり、つい最近の2月にも同じような安値を更新したことがわかる。けれど、2月にはそんな不祥事はなかった(「ネズミ騒動」はすでに起こっていたが、少なくとも全国的に明らかになってはいなかった)。

株式投資を嗜む人にとっては改めて言うまでもないことかもしれないが、株価は日々動くものであり、今回の騒動の影響も、株価の面ではそこまで深刻に受け止めることではないのだ。そもそも、今のゼンショーは、バリエーション的に非常に高い株価だ。

それに、そもそもゼンショーホールディングスは2024年4〜12月期の連結決算において過去最高益を達成している。営業利益は約580億円で、純利益は前年同期比で56%増加の約341億円。

一言で言えば、「絶好調」である。同業他社の吉野家が苦戦していることを踏まえれば、牛丼業界の中でもしっかり顧客層を持っている。数年単位で客離れが起きるとは考えずらいし、恐らくそこまでのダメージにはならないはずだ。

海外事業への一層の注力? 

ゼンショーの好調の理由の一つが、海外事業だ。ここ数年、同社の海外事業の伸びが顕著なのだ。 

国内既存店のすき家も好調なのだが、グループ全体で見るとグローバルはま寿司(日本、中国に展開)、グローバルファストフード(海外での寿司デリバリーなど含む)の利益が前年同期比でそれぞれ2倍、2.9倍。店舗数で見れば、すき家も含めたゼンショーホールディングスの全店舗数1万5000店舗のうち、1万店以上が海外店舗である。

ここ数年で、ゼンショーは国内・国外の二軸で稼ぐ企業になってきている。つまり、ゼンショーホールディングス全体で見れば、今回のように国内での騒動があったとしても、その経営が大きく揺らぐことはないといえる。

そもそもは日本の内需拡大に限界があることから海外展開をしていたわけだが、それは期せずしてこうした事態に強くなる体質を身に付けつつあった……ともいえる。結果オーライといえば、結果オーライだ。ある意味、ここまでゼンショーが行ってきた海外展開が正しかったということを証明しているとさえ思えてくる。

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