「六麓荘とタワマンは何が違う?」親から巨額資産を引き継いだ超富裕層が考える、タワマンを避ける理由と“住人の気質”の差

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3人目の熊田治義さん(仮名)は、大手企業の創業家で、団体の役員をしています。株式を中心に数十億円の資産を保有しており、現在、親から受け継いだ一戸建てに家族で住んでいます。

今回インタビューした3人の中で、熊田さんがタワマンに住むことに最も強い拒否反応を示していました。「住んだことないので、批判するのは気が引けますが」と断りつつ、超富裕層の目線でタワマンが眼中にない理由を説明してくれました。

「タワマンって、氏素性も国籍もわからない赤の他人と薄い壁で仕切られた小部屋で一つ屋根の下で暮らすわけですよね。少なくとも、私には絶対無理です。タワマンが便利だとか眺望が良いといっても、ピンと来ません。緑豊かで広々として、プライベートも確保されている一戸建ての方が、圧倒的に住みやすいと思います」

自力で富を得たわけではないので

さらに熊田さんは、最近、日本でタワマンがもてはやされている理由について、興味深い仮説を披露してくれました。

「私も含めて代々の富裕層は、自宅や私生活を他人に自慢しません。自力で富を得たわけじゃありませんからね。一方、起業家やスポーツ選手・芸能人は、成功すると『俺ってスゴイだろ!』と自慢する人もいます。タワマンの眺望・外観・共用スペースはインスタ映えするので、格好の自慢ネタですよね。最近のタワマン人気は、インスタによるところが大きいのでは?と思います」

今回インタビューした超富裕層3人が共通して気にしていたのは、住環境です。タワマンの住環境については、交通の利便性や高度な防犯対策といった良さがある一方、3人が指摘したような問題点もあります。

3人は、住環境に関してタワマンよりも一戸建てに軍配が上がると判断しているわけですが、もちろんこれは一つの見解で、絶対の正解というわけでありません。職業・家族構成・財産状況・地域などによって、考え方は大きく違うかもしれません。

近年タワマンが高騰していることから、「今後どれくらい値上がりしそうか」といった投資対象の側面がよく話題になります。しかし、多くの日本人にとって、タワマンは住むためのもの。住環境の良い点・悪い点をしっかり見極めた上で、購入や賃借を判断したいものです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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