タワマン富裕層の「節税技」は相続税だけではない 下層階の住民が納得いかない「税負担」の差
タワーマンションの高層階は眺望の良さなどから、低層階より割高で売買される。ところが、相続時の評価は実際の売買価格の数分の1になることもある。これに目をつけた「タワマン節税」が横行したため、国税庁は来年の相続分から評価額を見直すことになった。
実はマンションの全所有者が払う固定資産税にも同じ構図があるのに、見逃されている。この機会に正すべきだ。
まず、タワマン節税の仕組みから説明しよう。例えば、1億円の部屋があったとする。これを資産家が1億円の借金で買う。そして亡くなった時の評価額が半分の5000万円になり、借金が9000万円残っていたら、差額の4000万円を資産全体から引いて相続税を軽減することができる。一方、昨今のマンション事情を考えると、部屋の価格は値上がりしている可能性さえある。
高層階ほど「タワマン節税」が有利なからくり
なぜこんなことが可能になるのか。
相続税評価は、土地と建物に分けて行われる。土地は、相続税路線価が使われる。毎年7月に国税庁が発表するもので、全国の津々浦々の道路に価格がついている。
建物は、固定資産税の評価額が流用される。建物の評価は、同じ建物を仮に建て直した場合にいくらかかるかを総務省が定める建築材料や工法の値段などを積み上げて計算する。「再建築価格」という。
マンションは、全体の再建築価格を算出して土地の評価額と合算し、その合計額を部屋ごとの専有面積に応じて割り振る。エントランスや廊下などの「共有部分」の費用も全所有者に割り振られることになる。こうして算出されるので、専有面積あたりの価格は、最上階だろうが、1階だろうが同じになる。
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