相続人が判明するのに1年かかる例も……

空き室が増えて修繕ができないと「廃虚化」の道をたどる(写真:共同通信)
少子高齢化の進展とともに深刻化している「空き家」の増加。本特集では、空き家をめぐって進行している問題や活況を呈し始めた関連ビジネス、実家をめぐる諸問題の解決策を紹介する。
東京都区内にある30戸規模のマンション。その1室は、長い間所有者不明のまま放置されてきた。所有名義人は15年前に他界。配偶者も8年前に亡くなっていた。長期間、管理費の滞納が続いたことにしびれを切らし、マンションの管理組合は、弁護士に相続人の調査を依頼した。
こうしたケースでは、弁護士は戸籍をたどり、「相続関係図」を作る。そこに登場する人物は実に59人に及んだ。子どもが相続放棄をしていたため、名義人と配偶者の兄弟姉妹とその子どもまでたどる必要があったためだ。
弁護士が相続関係図を作るだけで1年以上かかった。相続人がようやく判明し、滞納された管理費をこれから請求するという。
所有者不明の相談が増加
2023年で900万戸に上る空き家。そのうち503万戸がマンションをはじめとした共同住宅だ。ただ共同住宅の空き家=空き室の約8割は賃貸用。また多くのマンションでは、空き室は「1室」の問題にとどまっていた。

しかしここにきて、空き室がマンション全体の問題となるケースが増えてきた。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら