天井知らずのマンション価格、その理由とは—— 誰が、何のために買っているのか?その実情は
東京23区では1億円超えの新築マンションが続出し、建築資材価格や人件費の高騰で2024年も新築マンションの価格は上昇が続くとされます。かつて1戸=1億円以上のマンションが「億ション」と騒がれたのが嘘のように、今や「2億ション」「3億ション」でないと超高級マンションとは呼ばれない時代です。なぜ、こんなに高くなってしまったのか? 背景には何があるのか? 業界の第一人者であり、新刊『なぜマンションは高騰しているのか』を刊行した牧野知弘さんによる特別寄稿をお届けします。
増え続ける富裕層
「お金持ち」と言うと、毎月たくさんの給与所得がある人、つまり年収の高い人、と思いがちですが、日本は所得税率が高く、フロー(収入)が高くても、長年にわたって高給取りでもない限り、実はそれほどストック(金融資産)を形成できません。
フローが頼りのビジネスパーソンの世界は、二極化しています。いわゆるいい学校を出て、内部留保の厚い優良企業に入れば、大きな失敗をしないで、そこそこの仕事をしていれば、つつがない人生を送ることも可能です。
かつてとは異なり、今の大企業の職場はパワハラなし、残業なし、有給休暇フル消化に加えて、国民の祝日数は世界有数です。それでいて、外資系企業と違い、日本企業の社員は労働法に手厚く守られ、簡単にはクビになりません。高度成長期やバブル期よりもはるかに楽になっているのです。それどころか、これからは政府の要請で給与まで上げてもらえるかもしれない。これはもうパラダイスでしょう。そんな恵まれた人たちも数多くいることは、事実なのです。
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