「仕事中に居眠り」する社員の"副業や兼業" もめずに禁止・制限するために必要な「プロセス」とは
しかし、会社側の対応として注意が必要なのは、メンタル疾患等の場合、日常生活を問題なく送れる日があったり、日常生活を問題なく送れるようにするためのリハビリをしていたりすることです。外形的には仕事をしないで遊んでいるようにみえ、会社側が誤解してしまうケースがあります。
療養中の行動については慎重な判断が必要
実際に私傷病休職中の行動について、療養専念義務に違反したかどうかが問題となった事案(マガジンハウス事件・東京地判平成20年3月10日)で裁判所は、「私傷病欠勤期間中に、オートバイで頻繁に外出していたこと、ゲームセンターや場外馬券売場に出かけていたこと、飲酒や会合への出席を行なっていたこと、宿泊を伴う旅行などをしていたことを療養専念義務に反する行為であると主張するが、うつ病や不安障害といった病気の性質上、健常人と同様の日常生活を送ることは不可能ではないばかりか、これが療養に資することもあると考えられていることは広く知られていることや、原告が、連日のように飲酒などを行ない、これが原告のうつ病や不安障害に影響を及ぼしたとまで認めるに足りる証拠もないことからすれば、原告の上記行動を特段問題視することはできないというほかない」と判断しており、療養中の行動については、それが療養に反するかどうかを医師の意見も聞きながら慎重に判断することが求められます。
自己健康保持義務の問題は、当該労働者の労務提供の状態が、本来予定されている正しい労務提供と言えるか、また業務遂行にどのような影響、支障を与えているかという観点から捉えることが重要です。
個別の私生活の行動を批判するのではなく、「あくまで私生活は自由であるが、結果として、労務提供に影響が出ているとなると会社としては困るし、そこは介入せざるを得ない」というスタンスで注意指導をしていくことが求められます。
使用者側労務専門弁護士として、訴訟、労働審判、労働委員会等あらゆる労働事件の使用者側代理を務めるとともに、労働組合対応として団体交渉に立ち会うほか、企業法務担当者向け、社会保険労務士向けの研修、セミナー講師を多数務めるなど、労働法分野のあらゆる側面において企業活動に参与。
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