「最もワーキングプアな国家資格」と自嘲する人も…在留外国人が急増で「日本語教師の需要増」なのに、“低賃金すぎて生活できない”根本的な理由
「日本語は誰にでも教えられる」という考えは、完全な誤解だ。しかしこの認識は広く浸透しており、日本語教師の給料が低く抑えられる根因となっているのは間違いない。
日本語教師は専門性の高い仕事
ただ、一度でも日本語を教えた経験がある方なら、この認識がいかに見当外れなものかすぐに理解できるはずだ。筆者も講師のはしくれとして、この考えには異を唱えたい。
人に何かを教えるとき、「相手にとって未知の内容を、未知の言葉を使って説明する」のはそれほど難しくない。一番難しいのは、「相手にとって未知の内容を、相手が知っている言葉だけで説明する」場合である。日本語教師は、まさにこの教授法のプロなのだ。
日本語教師の教授法に関して、いくつか具体例をあげよう。どう説明したらいいか、みなさんも考えていただきたい。
どうだろうか? 誰にでも教えられるわけでないことが、ご理解いただけたのではないだろうか。日本語を使いこなせることと、教えられることはまったく別である。日本語教師は、高い専門性が必要とされる仕事なのだ。
国家資格化によって、日本語教師の待遇は変わるのか
国家資格化によって、日本語教師の待遇は変わるのか。
静岡県内で、日本語学校「ACC国際交流学園」を経営する山下大介さんに話を聞いた。
「現在、日本語教師の争奪戦が起こっていて、全国的に給料水準は上がりつつあります。ただ、それは在留外国人の急増によって、日本語教師がにわかに売り手市場になっただけ。国家資格化とは直接の関係はありません。
現時点では、この資格を取れば給料が自動的に上がるようなことはないと思います。登録日本語教員は薬剤師や建築士のような、“資格がなければ仕事ができない”業務独占資格ではありません。そのため、資格自体に希少性はなく、むしろ登録日本語教員の取得が、日本語学校で働くための必須条件になるはずです」
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