「最もワーキングプアな国家資格」と自嘲する人も…在留外国人が急増で「日本語教師の需要増」なのに、“低賃金すぎて生活できない”根本的な理由
日本語教師は、激務のわりに驚くほど給料が低い。「最もワーキングプアな国家資格」と、日本語教師自身が自嘲するほどだ。日本語学校に常勤で採用される場合の初任給は、20万円~23万円が相場だ。管理職になるまで額はあまり変わらないので、10年働いても年収300万円程度の人はザラにいる。
清水さんが、苦笑いを浮かべながらこんな話をしてくれた。
「日本で就職する教え子の初任給が、就職指導をした私の給料より高いケースがたまにあるんです。だから、自分の年収なんて口が裂けても言えません……」
とはいえ、常勤職員はまだマシなほうだ。非常勤になると、さらに待遇は厳しくなる。1コマ50分の授業をしても、講義料はわずか1800円~2000円程度にすぎない。
しかも、これはあくまで授業時間に対する支払いであり、事前準備の時間は考慮されない。どの教師も、事前準備に授業の3倍以上の時間をかけるのが普通だ。非常勤の場合、かかった時間をトータルで考えると、法定の最低時給を確実に下回っているケースが多い。
非常勤の日本語教師の平均年収は100万~200万円といわれ、「これだけでは食べていけない」と関係者は口を揃える。だから、これから結婚や出産を控える20代、30代はあまり参入してこない。非常勤の中で30代以下が13%しかいないのは、もっぱらこの点に理由がある。つまりは、生活に余裕のある人でなければ非常勤の教師なんてできないのだ。

常勤教師の「知られざる業務内容」
一方で、「社会とつながりたくて」日本語教師を目指す人も多くいる。
子育てがひと段落した主婦や、会社を定年退職したシニア層が代表的な例だ。こういった方々は、配偶者の収入や年金で十分に暮らしていけるので、日本語教師の稼ぎには頼らなくてもいい。「先生業ができるならボランティアでもいい」と考える人も少なくない。
セカンドキャリアとして日本語教育に参入してくるこうした方々の存在が、非常勤の講義料を低水準にとどめる一因になっているといわれる。
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