「最もワーキングプアな国家資格」と自嘲する人も…在留外国人が急増で「日本語教師の需要増」なのに、“低賃金すぎて生活できない”根本的な理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

とはいえ、業界によい変化が起こりつつあることも山下さんは強調する。

「日本語教師の待遇を上げていかなければならない、と考える経営者は少しずつ増えています。私の学校でも、よいパフォーマンスをした教師の処遇を上げて、キャリアアップできる仕組みづくりに着手しはじめたところです」

山下さんのような考えを持つ経営者が増えれば、日本語教師の置かれた環境は間違いなく変わっていくはずだ。

日本語教師が活躍できる場は広がっていく

今回の国家資格化は、あくまで日本語学校で働く教師だけに関わる話だ。だが日本語教師が活躍できる場は、これから教育機関以外にも広がっていくだろう。

一番見込みが高いのは、企業やビジネスパーソン相手の仕事である。

たとえば日本で働く高度外国人材の中には、自分のビジネス日本語のスキルをさらに磨きたいと考える人が多くいる。こうした方からウェブのプラットフォームでオファーを受け、オンラインで授業を行うサービスはこれからどんどん拡充していくだろう。国外に約379万人いる日本語学習者から、オファーが入るケースも増えるはずだ。

また、2027年から創設される「育成就労制度」では、日本語教育を企業負担で実施することが義務づけられる。質の高い日本語教育へのニーズが高まるため、有能な日本語教師を社内に受け入れようとする企業も出てくるだろう。

むろん、こうした場で活躍できる人は全体の一部かもしれない。ただ強調したいのは、実力を持った日本語教師には高い報酬を払ってもいいと考える人が、これから確実に増えるということである。

日本語教師がワーキングプアであっていいはずがない。30代以下がチャレンジしたいと思う、魅力ある職業にしていかなければならない。日本語教師は、今後ますます必要とされる仕事なのだから。

千葉 祐大 人材コンサルタント/一般社団法人キャリアマネジメント研究所 代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ちば ゆうだい / Yudai Chiba

1970年生まれ。花王株式会社を経て、2006年に外国人材関連のコンサルタントとして独立。異文化対応に悩む経営者やビジネスパーソンに、外国人材のマネジメントを指導する研修コンサルティング業務を始める。現在はこの分野における第一人者の地歩を確立。全国にクライアントを抱え、企業研修、セミナー講師としても年間80回以上登壇している。最新刊に、『今日も異文化の壁と闘ってます 違いを越えて仲間になる!外国人材マネジメントのツボとコツ』(三笠書房、2024年11月発売)

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事