「最もワーキングプアな国家資格」と自嘲する人も…在留外国人が急増で「日本語教師の需要増」なのに、“低賃金すぎて生活できない”根本的な理由

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だが、いまは留学生のほとんどを途上国から来た若者が占めている。以前はベトナム人が多かったが、最近はネパール、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマーといった国が中心となっている。

どの国も平均年収は50万円に満たない。仮に学費を値上げすると人が集まらなくなるうえ、入学後に授業料を支払わないリスクも高まる。だから学費を値上げさせられず、結果として雇用する日本語教師の給料も上げられないのだ。

また途上国からの人の受け入れは、政治や社会情勢に大きく影響される。コロナ禍での入国制限は記憶に新しいところだが、いまはミャンマーからの受け入れが、軍事政権に変わって不安定になっている。さらには日本の入国管理行政も、そのときの状況によって方針が変わり、特定の国の入国規制がいきなり強化されることがある。

つまり、入学者数が読めないのだ。だから、いざというときに切りやすい非常勤を重用し、常勤教師は法令で定められた最小限の数にとどめる学校が多い。結果として限られた常勤講師が、授業以外の業務をすべてこなさなければならない状況になる。

2:「日本語は誰にでも教えられる」という認識

「日本人なら誰でも日本語を教えられるはず」

この思い込みも、日本語教師の価値が低く見られる一因となっている。

たとえば、前出の清水さんが勤める専門学校では英語の学科もあるそうだが、英語講師の時給は日本語教師より2倍くらい高いという。「日本語を教えるのは難しくないから時給は低くて当然、という考えがウチの理事長にある」と清水さんは話す。

そしてこの認識は、日本語教師をこれから目指す人にさえ感じられるという。

「以前、定年退職後に講師の勉強をしている方と話す機会があったのですが、その方が、『残りの人生は日本語教師 “でも”やろうと思っている』と言ったんです。『そんなに甘くないですよ』とやんわり返しましたが、正直、少しカチンときましたね」

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