〈詳報記事〉文科省の博士学生支援プログラムで「日本人優先」検討の根本問題。留学生への経済支援が十分な検証なく削られるおそれ

少子高齢化が止まらない日本。不足する人材の穴を少しでも埋めるべく、専門的な技術や知識を持つ「高度外国人材」の獲得加速は待ったなしの状況だ。そんな中、博士課程の留学生への経済支援が十分な検証もなく削られる可能性が浮上している。
文部科学省は4月18日、博士課程の学生へ年間最大290万円の経済支援を行う「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」について、「日本人学生への支援内容を拡充する」「日本人と留学生の支援内容を見直す」という方向性を示した。今夏までに変更案を取りまとめるという。これまでは、国籍による受給制限などはなかった。
日本人の博士人材は減少必至
政府は「科学技術立国」を掲げるものの、研究力を示す指標は凋落が続く。優秀な博士人材の確保は喫緊かつ重要な課題だ。日本人の博士課程への進学を促す施策の充実が大切なのは言うまでもない。しかし、日本人の進学率を多少向上させたとしても、中長期的には現状維持どころか大幅に減ってしまう見込みだ。
浪人などをせずストレートに進学してきた場合、博士課程の入学時の標準年齢は25歳となる。総務省の人口推計(各年10月1日時点)によると、2024年の25歳人口は129.5万人。2003年の169.6万人から23.7%も減少している。同期間の博士課程入学者(社会人以外)の減少幅はさらに大きく、ピークだった2003年の1万4280人から、2024年は9477人へと33.7%減少した。
目下、日本の出生者数は9年連続で過去最少を更新中で、2024年は72万0988人だった。同年の25歳人口と比べて4割ほど少ない。つまり、日本の25歳人口が今後さらに、大幅に減ることは目に見えている。日本人だけでは十分な博士人材の数をとても賄えないだろう。
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