成績が上がらないのは、頭が悪いせいではない 「シン読解力」という一生モノのスキル

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単に「それぞれの教科の教科書を読めるようになるための手段とトレーニング法が確立されていないせいだ」と。

「教科書を読んでわかる」ことが学校教育の目標

私がみなさんにお届けしたいメッセージはごくシンプルなことです。

日本では、学校で学ぶべき内容は教科書に書かれています。教科書は「読めば誰もがわかるように」、かなり工夫して書かれています。東大の入試といえども、その範囲を超えた出題はできません。そして、教科書を「読める・読んでわかる」ようになれば、学力は自然に上がることが、RSTの結果からわかっています。

しかし、本来、読めば誰でもわかるはずだと思われている教科書は、思いの外、読めていないのです。まじめに読みさえすれば誰でもわかるものではなかったのです。

だからこそ、「教科書を読んで、わかるようになる」ことを、改めて学校教育の役割の真ん中に置いてみてはどうでしょう。そして、「教える」という行為を、「教科書を読んで、なるほど、とわかるようになるよう支援する」と捉え直してはどうでしょう。知識を教え込むのではなく、読んで自分でわかるようになるように伴走し、科学的なトレーニングを提供するのです。そうして身につけた「シン読解力」は、テクノロジーが進化する時代にも陳腐化しない一生モノのスキルになるでしょう。

「学びたいことは本やネットでいくらでも身につけることができるので、学校はもう必要ない」と言って、子どもたちが笑って卒業してくれるのが理想だと私は思っています。

新井 紀子 国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授

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あらい のりこ / Noriko Arai

一般社団法人 教育のための科学研究所 代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院を経て、東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクターを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。
主著に『数学は言葉』(東京図書)、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)、『AIに負けない子どもを育てる」(東洋経済新報社)などがある。

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