意を決して助けを求めてきた級友に、いい加減なことしか言えなかった……その棘は40年以上経った今も抜けません。
成績が上がらないのは頭が悪いせいではない
当時、私は数学が大嫌いな高校生でした。数学が苦手だという理由だけで、自分は文系だと固く思い込んでいました。今、「リケジョ(理系女子)」を育成するためのイベントなどに大規模な教育投資が行われています。けれども、仮に当時そのようなイベントがあったとしても、私は決して足を運ばなかったでしょう。自分の人生に、理系、ましてや数学が関係するなどと考えられなかったのです。
つまり、高校生の私は、国語はできるのに、なぜか数学は読めないという状態に陥っていたのです(当時は、「読めない」という自覚がなく、「解けない」と思っていましたが)。やる気はそこそこあるのに、特定の科目に強い苦手意識があるーーその状態は、高校3年間で改善されるどころか、逆に強化されてしまったという記憶があります。
リーディングスキルテスト(RST)という「教科書を読み解くために必要な読解力」(「シン読解力」)を測るためのテストを開発し、小学5年生から大人まで50万人以上に受検していただきました。そのデータを分析して初めて、高校生だった自分と国語ができなくて悩んでいたクラスメートに、私は自信をもって言うことができます。
あなたや私が国語や数学が不得意だったのは、私たちのせいじゃない。私たちに才能がないからでも、頭が悪いせいでもない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら