「サムスンらしさを失った」「一度死ぬ覚悟で」と役員に迫った李在鎔会長が抱える危機感とは何か

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この役員向けのセミナーでは、大学教授など専門家らが「外部から見たサムスンの危機」といったテーマで講演を行った。

「実力を伸ばすより『他人よりよくすればいい』という安易な考えに陥っているのではないか」「年功序列を意識するあまり、質的向上ができていないのではないか」などの指摘が相次いだ。

「危機に強く、逆転に強く、勝負に強いサムスン人」というフレーズが書かれた札が、今回のセミナーではくばられたという。このフレーズこそが、サムスンが進むべき方向について李会長が最も言いたいことのようだ。

サムスンに迫る危機を克服できるか

ある出席者は「グループで危機を克服しようという趣旨でセミナーを準備し、9年ぶりに開かれた。それだけに『危機を克服しよう』というメッセージが主だった。サムスンに迫っている危機感も感じることができた」という。

3月19日に予定されているサムスン電子の定期株主総会でも、役員陣は危機感をあらわにし、「革新」を強調するものとみられる。

2025年の株主総会では、AI時代を支えるというHBM(High Bandwidth Memory)などの半導体事業の競争力を回復できるか、ヒューマノイドロボットなど未来事業の状況はどうなっているのか、またファウンドリー事業でアメリカ向けに追加投資をするのかどうかといった質問が株主から出るのではと予想されている。

韓国・漢陽(ハニャン)大学融合電子工学部のパク・ジェギュン教授は、「サムスンは今、組織が肥大化し、事業への集中力が低下した。李会長の発言はHBM分野で競合他社に追いつかれ、できるだけ早くその差を縮めなければならないという危機感を示したものであり、役員に命をかけてすべての能力を使ってやってみようと注文を付けたのではないか」と言う。

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