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日本で「子持ち様」論争が過熱する根本原因 敵は出産の可能性がある女性ではない

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  • 内田 舞 小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長
  • 塩田 佳代子 感染症疫学者、獣医師、ボストン大学公衆衛生大学院グローバルヘルス学科アシスタントプロフェッサー
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現状、さまざまな社会的な要因がその妨げとなっており、多くの女性はいらぬ自責の念にさいなまれたり、さらなる無理を重ねる選択を強いられたりしている。外から見るとこれほど明白なことにもかかわらず、日本の女性は自分たちでもその状況に気づきにくい環境にいるように見えます。

だからこそ、私の中に、そんな女性たちに伝えたいと思うメッセージが溢れてくるのです。「頑張ってる姿、見えてるよ! 素晴らしいよ!」という言葉をまずは大声で送りたいですね。

「子どもを産み育てている人はなにをしても許されるのか」議論

塩田:同感です。今、悩んだり苦しんだりしている人がいるのなら「どうか焦らないで。大丈夫、ひとりじゃないよ」と1人ひとりにお伝えしたいです。

ジェンダーダイバーシティ(性的多様性)に関して取り組んでいかなくてはいけない課題はどの国にもまだまだありますが、日本人としてアメリカで働いていると、日米の制度や価値観の違いに気づくことはよくあります。日本の女性たちが働きにくい環境に置かれていて、中でも子育てしながら働くのは簡単ではないだろうと私は感じています。そして、子育てしている当事者だけでなく、周囲の人たちも含めて、みんなが苦しい状況になっているのではないかと。

たとえば、ネットに散見される「子持ち様」という言葉。「子どもを産み育てている人はなにをしても許されるのか」といった議論が巻き起こっているようですね。でも、仕事を休まなくてはならない要因は、子育てだけではないのですよね。うつ病になってしまう人もいるし、交通事故に遭ってしまう人もいるし、親が倒れたことで実家にしばらく帰る人もいます。人生にはさまざまな出来事があってそのたびに仕事をフルでできなくなってしまう状況が生まれます。「みんなにあることなのだから」と受け止め支え合っていけたら、全員が働きやすい職場に近づけることができると思うんですね。

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【子どもを持つのは「自主的な選択」だ、という指摘】

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