究極のデキる女とは「をかしき女子」である

「枕草子」に記された女性が守るべき3カ条

■其の一、まずは世界を知ろう

おひさきなく、まめやかに、えせざいはひなど見てゐたらむ人は、いぶせくあなづらはしく思ひやられて、なほさりぬべからむ人の娘などは、さしまじらはせ、世の有様も見せ習はさまほしう、内侍のすけなどにてしばしもあらせばやとこそ覚ゆれ。
【イザ流圧倒的意訳】
将来に対してこれといった希望を持たずに、ただまじめに、男性にすがって見せかけの幸せを夢みて暮らしているオンナって、正直言ってうっとうしいし、見ているだけでムカつくわ。ちゃんとした家の娘なんかも、さっさと宮仕えさせて、世の中がどうなっているかを見て欲しいし、できれば典侍ぐらいになってみれば良いと思うわ。

 

お姐さん、ビシッと言ってくれる! この段を初めて読んだときに、「えせ幸ひ」という言葉が目に留まり、印象に残った。清少納言の時代といえば、今から千年以上も前だ。華々しい着物を何枚も重ね、家の中にたれこめて暮らし、男性が忍び込んでくれるのを待つ存在というイメージが強い平安女性だが、時代はどうであれ、デキる人は言うことがさすが違う!人からもらうもの――経済的な安定、安住――は「形だけの幸せ」。外に出て、多くの人と接し、ときに痛い目に遭う、つまり自立することが、清姐さんのいう本物の幸せ。これ、カッコよすぎませんか?

誰がためのオシャレなのか

ところで、典侍というのは、内侍司という役所の次官のポジションで、宮仕えをしている女性の中では相当ハイレベルの役職。言い換えると、しばらくの間部長になってみると良いわよ、と言っているようなもの、かなりハイスペックの話なのだ……。

少しばかり親近感を持ったところで、所詮あなたたちは下々に過ぎないわよ、と一蹴して読む人の心をやりで突き刺すようなことをいうのは清姐さんの特徴なのだ。「利口ぶって、得意顔でうぬぼれている」と、天敵の紫式部が言う気持ちもわかるが、12センチのピンヒールを履いて、ブリーフケースを持ったキャリアウーマンの清少納言が丸の内を颯爽と歩くイメージはやはり憧れてしまうもの。

■其の二、おしゃれは誰のためでもなく、自分のためである

人はいでにけるなるべし、薄色の、うらいと濃くて、上は少しかへりたる、ならずは、濃き綾のつややかなるがいと萎えぬを、かしらこめに引着(ひきき)てぞねたる。香染の単衣、もしは、黄生絹(きすずし)の単衣、紅の袴の腰のいと長やかに、衣の下より引かれ着たるも、まだとけながらなめり。

 

この文章はあまりにもきれいすぎて、拙い超訳を添えるのが恥ずかしいので、大庭みな子先生の現代語訳を紹介することにさせていただく。

男はもう帰ったらしく、女は薄紫の、裏はこく表は少し色あせた衣か、でなければこい紫の綾織りのまだなえていない新しいのを頭からかぶってねている。香染めの単衣に、生絹の紅の単袴のひもが長くとけて衣の下に見える。
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