ハロウィンの何が日本人を夢中にさせるのか 外国人も目を見張る衝撃的な熱狂ぶり
一つ目は、本場米国ではハロウィンが子供中心のイベントであるのに対して、日本では、大人のためのお祭り的な色彩が強いことである。米国では子供たちが「Trick or Treat! 」と言いながら家々を訪ねてお菓子をもらい練り歩くというイメージが強いが、日本では、大人が仮装をして参加するパーティという性格が強い。この点こそ外国人が特に奇異に思っている最大の要因だろう。
二つ目は、日本版は盛り上がっている期間が長い、ということである。10月31日ハロウィン当日はもとより、ディズニーランドなどのテーマパークではすでに9月初旬からハロウィンイベントを開催しているほか、学校や会社の仲間との「ハロウィンパーティ」などのイベントが2カ月にわたって目白押しだ。10月31日には会社公認で、仮装で出勤することを奨励したりするところも増えてきているのも、注目すべき点だろう。
三つ目はすでにイベントとして成熟した米国に比べて、日本は今後も菓子やカード類など関連消費市場の拡大が見込めることだろう。米国では、ハロウィン関連消費は60億ドル程度あるものと推計される中、日本では今後消費がどのような分野でどのように拡大していくかを外国人留学生たちも高い関心を持っている。
なぜハロウィンは急速に定着したのか
それでは、日本人がなぜこれほどまでにハロウィンに熱狂するようになったのかをマーケティングや行動科学の視点から考察してみよう。
一つは、日本版ハロウィンにおける「イベント性の高さ」にある。衣食が足りた成熟社会である日本では、単純な「モノ」への欲求は減退し、実際に消費者が購買行動を起こすには「コト」にかかわる欲求がより重要なニーズとして浮上している。
特に消費者間で高まっているのが、大切なおカネや時間を費やすのであれば、「より楽しく有意義にしたい」、「もっと満足感や幸福感を得たい」という情緒的価値、精神的価値、経験価値への欲求である。今や多くの消費者が仲間と共に「本当に感動している」と全身で感じられるような時間や機会を消費行動の中に求めるようになっており、マーケティングの世界では近年「共感」「感動」といった言葉が重要なキーワードとなっている。
この「仲間と感動を分かち合う」という点において、仮装パーティや友人たちと町を練り歩くというお祭り的な要素が強い日本版ハロウィンは格好の機会である。日本はもともと欧米のキリスト教的イベントに対して好意的だが、クリスマスやバレンタインと比較すると、「1対1」でお祝いするのではなく、「みんな一緒」に楽しめるという経験価値の要素が、ハロウィンがここまで短期間のうちに人気を集めてきた要因だろう。
ハロウィンがいわゆる「ゆとり世代」や「さとり世代」と呼ばれる、1987年から1995年生まれ辺りの若者世代から受け入れられている点にも注目したい。
この世代は、仲間や友人同士のつながりを重視しており、傾向的には異性にモテるよりも、同性から共感を得ることへの関心が高いと指摘されている。この点、日本版ハロウィンでは「ハロウィン女子会」なるものが定着しつつあることを踏まえると、年間を通じて同性同士で楽しめる最大のイベントとなっていることが普及を後押ししているのではないか。
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