米中に出遅れ「日本のスマートホーム」普及のカギ データ連携サービスで大企業がタッグを組む訳
「TRON電脳住宅」から35年―。日本ではスマートホームの普及に向けてさまざまな取り組みが行われてきたが、遅々として進んでいないのが実情だ。業界団体であるリビングテック協会の2023年の調査では、スマートホーム・スマート家電の普及率は、中国が92%、アメリカが81%に対して、日本は13%にとどまっており、その後も大きな変化は見られない。
電子情報技術産業協会(JEITA)スマートホーム部会長を務める北陸先端科学技術大学院大学副学長の丹康雄教授は、中国・アメリカと日本の違いを次のように分析する。
中国・アメリカでは2010年代に入ってIoT機器を居住者自らがインターネットに直接接続して利用する「IoT型」でスマートホームが普及した。一方、日本ではIoT機器をホームゲートウェイ(制御装置)経由でインターネットに接続してサービスプラットフォームを提供する「ゲートウェイ型」のスマートホームが供給されてきた。
IoT型は、システムレベルでの責任は誰も負わないのでIoT機器を安価に提供でき、利用者も手軽に導入しやすい。一方、ゲートウェイ型はさまざまなサービスに対応するプラットフォームを開発するのに時間がかかり、利用料金も高くなりがちだ。日本でゲートウェイ型を利用する場合、月額2000~3000円の料金がかかり、IoT機器などの初期投資を含めてスマートホームを導入するコストは高くなる。
「IoT型」スマートホーム導入の課題
長年、スマートホームを取材してきた筆者も「ゲートウェイ型」を自宅に導入するのは費用的に厳しいので、まずは「IoT型」で、スマートスピーカーとスマートスイッチを自分でインターネットに繋いでエアコンやテレビなどの家電製品を操作できるかを試してみた。
グーグル製スマートスピーカー(約5000円)を購入し、ソフトバンクから提供してもらったスマートリモコン「SwitchBotハブ2」(約1万円)を用意。ユーチューブで設定方法を解説する動画を探して設定要領を習得し、スマートフォンにグーグルとSwitchBotのスマートホームアプリ(無料)をダウンロードして1時間ほどで設定が完了した。
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