「子どものやる気が出ない家」には共通する"ルール"があるーー実は、やる気を引き出そうとする必要はない

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

以前『スマホはどこまで脳を壊すか』(著・榊浩平、川島隆太/朝日新聞出版)という新書が話題になりましたが、この本にとても衝撃的なことが書いてありました。スマホの使用時間と学業の成績には相関関係があり、スマホの使用時間が増えると成績が落ちるというのです。

たとえば、平日1日あたりのスマホ使用時間とテストの成績の関係を調べてみると、スマホの使用時間が1日に1時間未満の子が偏差値50以上だったのに対し、4時間以上スマホを使用していた子は偏差値40程度まで落ちていました。

もう一歩踏み込んで、家庭での学習時間とスマホの使用時間を合わせて見てみると、さらに恐ろしい結果が明らかになります。

学習時間が増えれば学力が上がるのは当然だと思いますが、学習時間を増やしたところで、スマホを一定の時間以上使用してしまうと、その学習時間の効果が打ち消されてしまうというのです。

具体的なデータを一つ取りあげてみましょう。1日2時間勉強し、さらにスマホを3時間使用した子がいたとします。1日のうちにそれくらいの時間スマホをさわってしまう子は少なくないと思いますが、そうした子の数学のテストの点数はあまりふるわなかったそうです。それどころか、勉強をまったくしないスマホ不使用の子たちの成績さえ下回ったというのです。

なぜそんなことが起きてしまうのか。それは、「スマホの使用が脳に悪影響を与えたからだ」と考えられるそうです。

スマホの長時間使用が、脳の前頭前野という、読み書き・計算など勉強に使う「認知機能」を担当し、さらに実行機能や会話など「非認知力」の機能も担当する部分に、著しく悪い影響を与えてしまうのです。

なお、スマホの長時間利用していた子どもが長時間利用をやめると、ちゃんと成績が伸びることもわかっています。

脳に楽をさせると、考えない子どもになっていく

調べものをする際に、紙の辞書などを使わず、ネットで済ませてしまうことも、脳にとってはあまりよいことではないようです。

前頭前野の活動を調べると、スマホで調べているときは、左脳も右脳もあまり活動が増えません。ところが紙の辞書で調べると、左脳も右脳も一気に活動量が増えるのです。

私たちの脳はものすごくエネルギーを使う臓器なので、なるべく省エネをしようとするのだそうです。そのためか、本来脳が行うべきさまざまな労力を省いてくれるスマホで調べものをすると、脳は「覚えなくていい」「考えなくていい」と勝手に判断し、省エネに走ってしまうそうです。そうして、結果的に脳の活動量が減り、発達が弱くなってしまう、というメカニズムのようです。

次ページ「脳で汗をかく」という経験
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事