セブン&アイ、伊藤忠離脱でMBO頓挫、続く正念場 カナダ企業による買収の可能性は高まったか

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創業家がMBOを断念し、カナダ企業による買収の可能性が高まっている(撮影:梅谷秀司)

セブン&アイ・ホールディングス買収をめぐる問題で、伊藤順朗副社長らセブン&アイ創業家はMBO(経営陣による買収)を断念した。

セブン&アイに対しては昨年、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールが7兆円規模の買収提案を行った。これに対抗し、伊藤副社長ら創業家陣営は総額9兆円規模の買収を提案していた。

だが、セブン&アイは2月27日、創業家陣営から「買収に関する正式提案に必要となる資金調達の目途が立たなくなったとの連絡を受領した」と発表し、計画は白紙となった。

「壊れたディール」は戻らない

巨額資金の金策は当初からの課題であり、一時は金融関係者から「壊れたディール」とも評されるほどだった。

中でも難航したのはエクイティ(自己資本)の調達だ。伊藤忠商事のほか、三井物産やNTT、鉄道会社など国内の大手企業、タイでセブン‐イレブンをライセンス展開する財閥のCPグループなどにも水面下で出資を要請していた。

年明けには米アポロ・グローバル・マネジメントなど、プライベートエクイティ(未公開株)ファンドが優先株で資金拠出する方向で調整していることが明らかになるなど、前進したと見る向きもあったが、結局まとめ上げることはできなかった。

MBOが頓挫した直接的な引き金は伊藤忠が断念したことだ。同社は1兆円を超える最大の自己資本提供者となるはずだった。伊藤忠による出資については、商社周辺や市場関係者から「株主にどう説明をつけるのか」、「傘下の伊藤忠食品との取引拡大だけで出せるような金額ではない」といった疑問の声が上がっていた。

実際、伊藤忠の関係者は「(MBO提案撤回の報道や発表の)数日前から、社内では『創業家との交渉がうまくいっていない』という話が広がっていた」と語る。

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