「独裁的なリーダー」の横暴を止める策はあるのか? 巨額の報酬がトップの傲慢さを招く

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問題のある傲慢なリーダーにやりたい放題させないためには、どのような対策をとるべきなのでしょうか(写真:masamasa2/PIXTA)
横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。
では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。
今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』について、中央大学教授で社会心理学者の安野智子氏に話を聞いた。前編に引き続いてお届けする。

巨額の報酬がトップの傲慢さを招く

なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造
『なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

第3の仮説「権力の座に(特に長期間)就くことで、人は腐敗していく」が示すように、権力は人を傲慢にします。

本書でも紹介されていますが、アメリカでは、ホワイトカラー犯罪による損失や損害が年間2500億から4000億ドルにおよんでいるという推定があります。犯罪者の数としては少ないものの、街中で起きる犯罪の被害総額よりはるかに多く、15~25倍の額に達するということです。

CEOの報酬が高くなりすぎて、従業員との格差も拡大しています。あまりに巨額の報酬を出すと、それを求めて、責任よりも利益を追求してしまう人を呼び寄せやすくなるでしょう。

本書でも懸念されていますが、巨額の報酬を得ることで、傲慢さを促進しやすくなるおそれもあります。

トップに立ち、ストレスも仕事量も多くなると、「自分はもっといい扱いを受けて当然だ」と思うようになりかねません。それは人間の自然な反応とも言えます。

だからこそ、監視すること、トップだけに権限や負担を集中させないシステム作りが大事なのだと思います。

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