パナソニックの大誤算、三洋買収で巨額損失

誤算はそれだけではない。電池事業のシナジー効果の見込みにも狂いが生じていた。

「2社の技術を組み合わせたリチウムイオン電池を作り、三洋とのシナジーの象徴としたい」。今から2年前、大坪社長はこう息巻いていた。

だが、この構想はいつの間にか影を潜めた。「詳しく検討したら両社の電池技術は根本的な“思想”が違った。技術が相互利用できる部分は少なく、融合するなら、ゼロから設計し直さなければならないことがわかった」(パナソニック関係者)。さらに、三洋の蓄電池事業を引っ張ってきたエース級の技術者も相次いでサムスンなど競合へ移ったり、独立した。

電池業界のアナリスト達は「サムスンの生産性は今では三洋の2倍も高い」と指摘する。材料コストも「日本企業が国産材料に固執する一方、韓国勢は3年前から安い中国材料を使って品質を維持する努力を行ってきた」。

三洋買収に伴う1年間の独占禁止法審査を含め、三洋との融合に逡巡した期間は3年間。変化の激しい電池業界で、この空白期間は長すぎた。サムスンはこの間も増産の手を休めず、最新鋭の設備を次々と導入。パナソニックは、競争優位をみすみす逸失したといえる。

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