パナソニックの大誤算、三洋買収で巨額損失
また大失態となった。パナソニックが2月3日発表した2012年3月期の連結最終赤字見通しは7800億円。日本の製造業のワースト記録である日立製作所の7873億円(09年3月期)に並ぶ水準だ。
パナソニックは昨年10月末、プラズマパネル工場の稼働停止に伴う巨額損失計上を発表したばかり。「ここ3カ月で2回も巨額の下方修正をするなんて、もう信用できない」。決算会見ではアナリストたちから怨嗟の声が、大坪文雄社長に向かって飛んだ。
わずか2年で価値半減
元凶は、本誌1月28日号でも可能性を指摘した三洋電機の投資損失だ。三洋買収に投じた資金は約6600億円。5180億円という巨額ののれん代(営業権)がのしかかっていた。
今回、のれん代のうち、2500億円を減損処理。09年12月の三洋買収からわずか2年で、企業価値が一気に半値近くに下落した格好だ。
財務担当取締役の上野山実氏は「三洋の主力だった民生用リチウムイオン電池の事業価値が、円高などの環境悪化のせいで、大きく毀損してしまった」と説明する。
ウォン安を背景にした韓国電池メーカーの攻勢は、確かに強烈だった。ノートPCなどで最もよく使われる2・2アンペア時の電池セルは、過去2年で3割近く市場価格が下落。収益柱だった三洋のリチウムイオン電池事業も現在は赤字に苦しむ。00年以降、三洋が守り続けていた世界首位の座も10年に韓国サムスンSDIに明け渡した。