「ネジザウルス」をヒットに導いた3つの秘訣 工具界の風雲児はこうして激売れした!

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工具界の風雲児「ネジザウルス」はなぜ売れない時期を乗り越えられたのか?(写真は、株式会社エンジニアの従業員たち)
1万丁売れれば大ヒットとされる工具の業界で、13年で250万丁も売れた工具があります。それが前回記事でも紹介したネジザウルス。従業員たった30人の大阪の会社が作ったそれは、業界でも大きな話題となりました。
発売6年後に販売には陰りが見え、会社も赤字に転落しますが、ある方法でそれを乗り越え、さらなる大きなヒットにつながります。いったい何がきっかけとなったのか。経営者の決断に迫ります。
前回記事:隠れた巨大ヒット「ネジザウルス」の秘密

 大ヒット商品に訪れた「転機」

1万丁売れれば大ヒットとされる工具業界で、13年で250万丁も売れた工具。それが前回記事でも紹介したネジザウルスです。

250万丁の大ヒットになった、ネジザウルス

大阪市東成区に本社を構える従業員たった30人の会社が作った製品としてはすさまじい売れ方です。

しかし、発売から6年で40万丁以上売れたネジザウルスでしたが、売り上げに陰りが見えてきました。2008年のリーマンショックの影響もあり、会社は赤字に転落。そこでいったいどうするか。考えに考えたすえ、ネジザウルスの新作を投入することにしたのです。

いったん売れ行きに陰りが見えたネジザウルスに新作を投入するのは、経営者として勇気のいることでした。

何しろ、販売の最前線からは「ネジザウルスにはもう飽きた」という声さえ聞こえてきたくらいです。もし売れなければ「言わんこっちゃない」と笑われるのがオチで、そんなことより何より、2年連続の赤字がいよいよ間近に迫ってきます。リーマンショックに端を発した販売不振と原材料価格の高騰というダブルパンチによって、創業60年の節目を迎えたその年、私たちは過去最悪の赤字に転落していたのでした。

何としても新作をヒットさせて、赤字から脱却しなければいけません。ネジザウルスの「逆襲」は、そうしてまさに背水の陣を敷いたところから始まったわけですが、そうした厳しい状況のわりに、いま思えばそれほど悲壮感がなかったのは、私たちの目の前にヒントの山があったからかもしれません。

ヒントの山——。

それは、ネジザウルスを購入してくださったお客様から寄せられた1000通のアンケートハガキでした。

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