韓国女優コ・アソン演じる「若者の葛藤と幸せの形」 「ケナは韓国が嫌いで」出演への想いを聞いた
――コ・アソンさん演じる主人公のケナに共感する同年代の若者は、日本にも多いと思います。
現代社会に生きる、韓国が嫌いという韓国人女性の物語ですが、監督と話していたのは、どこの国の若者であっても共感できる映画にしようということです。
それぞれの国に、その社会特有の問題や若者たちの生きづらさがあると思います。観客のみなさんの社会や生活に当てはめて考えてもらえるとうれしいです。
――ケナは、安定した仕事も恋人も捨て、家族と離れて、新たな生活を始めるために単身ニュージーランドに向かいます。彼女の生き方をどう感じましたか?
ケナは、毎朝の通勤ラッシュに疲れ、単調な日々の仕事に疑問を感じ、彼氏とは価値観も意見も合わず衝突します。
生活が安定していても、ここでは本来の自分らしく生きられないと感じるのです。そんな彼女に100%共感してくれなくてもいい。半々くらいに意見が分かれてほしいと思って演じました。
幸せを考えるきっかけになってほしい
――観客の意見が分かれるとしたら、それぞれそこから何を感じて、考えてほしいですか?
原作小説のラストに「何かを成し遂げた達成感から幸せを感じる人もいれば、日常の継続にささやかな幸せを感じる人もいる」というメッセージがありますが、本作はまさにそれを問いかけています。
観客のみなさんそれぞれが、自分はどちらに属しているのか、自分自身の人生の幸せはどっちなのか、を考えるきっかけになってほしい。私自身も原作を読んだときにそれを考えました。
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――コ・アソンさんがケナに共感できる部分はありましたか?
私とケナが違うと感じたのは、彼女は周囲の人たちとすぐケンカをするところ。両親とも彼氏ともたびたびぶつかります。もし私がそうなったら、きっと自分のエネルギーをそのためにすべて使い果たしてしまいます(笑)。なので、私にはそういった面はありません。
一方、ケナはニュージーランドで暮らしてから再び韓国に戻りますが、なかなか韓国での生活に慣れることができませんでした。自分の故郷なのに、どこかぎこちなさや違和感を抱いてしまう。
私はハリウッド映画にも出演させていただきましたが、仕事で海外に出ることがあるので、その感覚に共感できました。それを本作の演技にうまく生かしたいと思って、撮影に臨んでいます。
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