EU欧州諸国に民主主義を語る資格がない現実 虚構の「ロシア脅威論」、ウクライナ戦争の早期停戦を

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2025年2月14日、ドイツのミュンヘンで開催されたミュンヘン安全保障会議でのJ.D.ヴァンス・アメリカ副大統領。欧州大陸が自国防衛の必要性に目覚める中、欧州の指導者と軍関係者が会議に参加している(写真・2025 Bloomberg Finance LP)

複雑な問題を解くには、その問題の前提を根本から壊すしかない。古くから「コロンブスの卵」「ゴルギアスの結び目」といわれることわざは、まさにそのことを意味している。

ウクライナ戦争もちょうど3年が過ぎた。3年も続いたというべきだろうか。いまだにロシアは戦争ではなく、特別作戦といっている。

トランプのロシア寄りの停戦交渉

アメリカ第47代大統領トランプは、魔術師である。3年かかっても解けなかった問題を、もののみごとに解いたのだ。そのやり方は、それまでNATO(北大西洋条約機構)が前提にした条件をすべて壊し、ロシアの立場に近付き、停戦を進めるというものだ。

これはNATOがあきれる強引なやり方ではある。NATOの面食らった顔が見られたのが、2025年2月14日のミュンヘンでの副大統領J.D.ヴァンスの演説のときである。

ヨーロッパはロシアの脅威、中国の脅威といっているが、脅威は外からではなく、むしろ中から起こっている。その脅威とはヨーロッパの民主主義の衰退と官僚制であると、大勢の高官たちの前でとうとうと述べたのだ。

列席者の多くは顔をゆがめ、苦笑いをするだけであった。それはなぜか。

ウクライナ戦争は、ヨーロッパにとって民主主義国家を全体主義国家から守る聖戦だったからである。

聖戦の前提は、民主主義の祖国ヨーロッパの確固たる存在が前提なのだが、その前提が存在しないと述べたのだから、空いた口が塞がらなかったのだ。戦争の意味自体を破壊したのだ。

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