いずれにしろその原因は、19世紀に西欧社会に浸透した反ロシア主義という脅威にある。反ロシア主義は今でも西欧のそこかしこにあり、それがロシアのプーチンが、西欧社会を征服するのではないかというロシア脅威論の原因になっている。
マクロンは先日、ロシアの占領地域を示しながら「ロシアの脅威が迫っている」と主張していたが、戦争地域も占領地域もウクライナの東の一部にすぎない。
過去の歴史を見ても、ロシアが西欧に攻めた事例はなく、むしろ西欧(フランスとドイツ)がロシアを攻めた例しかないのである。
ロシア脅威論は存在しない
そう考えれば、ヨーロッパの脅威などありえないはずだ。すでにロシアは3年もの戦争で疲れ果てている。ロシア脅威論は説得力をもっているとはいえない。
決定的なダメージを受けているウクライナ国民に一刻も早く平和を実現し、人々の命と生活を保証することが重要であろう。当面NATOやEUへの加入は先送りにし、領土についてもロシア人の多い地域はロシア領にすることを考えたほうがいいのかもしれない。
それを敗北だというが、すでに敗北しているのだ。
その意味で、トランプの戦略は的を射ているともいえる。もちろん、トランプの駆け引きは1つとは限らない。先の著作で「ひとつの取引を望む場合、これを成功させるための計画を少なくとも五つ六つは用意する」(前掲書、68ページ)と述べているように、トランプは大胆に見えながら、意外に用意周到なところがある。
侵攻から4年目となった現在、まだ停戦の道への合意はできていない。しかし、ロシアもウクライナも疲弊していて、停戦のチャンスを待っている。その意味でEUは好戦的態度を控えたほうがいいだろう。
EU加盟国の国民もこの戦争で経済が大混乱し、不満がたまっている。だから平和を望んでいる。そのことは、ヴァンスのいうように議会選挙に現れているのである。
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