EU欧州諸国に民主主義を語る資格がない現実 虚構の「ロシア脅威論」、ウクライナ戦争の早期停戦を

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なるほど、フランスのマクロン政権はEU議会選挙と国民議会選挙で、いずれも支持を喪失している。ドイツのショルツ率いるSPD(社会民主党)は2月23日の選挙で大幅に議席を減らし、政権能力を失っている。

EU委員長のフォン・デア・ライエンに至っては選挙によって選ばれたわけではない。ヨーロッパの民主主義は、すでに民意を失った政権と化しているのである。

アメリカ副大統領による「ディール」

ヴァンスは、民主主義は民意の反映であり、選ばれたエリートたる政権担当者もそれに従わねばならないという民主主義の基本を、民主主義発祥の地ヨーロッパに教えたのである。

「オックスフォード大学の経済学教授シーニョアは、商人に経済学を学ぶためにマンチェスターに行った」という表現が『資本論』の中にあるが、欧州は民主主義のイロハを学ぶために若いアメリカのヴァンスのもとにはせ参じたというわけだ。

もっとも最近では、EUは「プーチンはウクライナ戦争をヨーロッパ侵略に拡大しようとしているのだ」というヨーロッパ侵略論に傾いていて、もはや民主主義を守るかどうかは問題ではないのかもしれない。

ヴァンスの演説は、トランプが図った駆け引き(ディール)であったことは間違いない。トランプは策士である。彼が書いた自伝は『駆け引きの仕方』(The Art of the Deal、邦訳『トランプ自伝』相原真理子訳、ちくま文庫、2008年)というタイトルである。そこにこういう言葉がある。

「私の取引のやり方は単純明快だ。ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる。時には最初にねらったものより小さな獲物で我慢することもあるが、大抵はそれでもやはりほしいものは手に入れる」(63ページ)
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