EU欧州諸国に民主主義を語る資格がない現実 虚構の「ロシア脅威論」、ウクライナ戦争の早期停戦を

✎ 1〜 ✎ 183 ✎ 184 ✎ 185 ✎ 186
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

トランプは、プーチン同様、この要求に否定的である。EU内にさえ、ハンガリーのオルバン首相のように、こうした要求をやめ、ウクライナを緩衝地帯として存続させるべきだと主張するものもいる。

歴史的に見て、東欧は複雑な地域である。東欧地域は、西欧の帝国(ドイツとオーストリア)、オスマン帝国、ロシア帝国との均衡関係の上でなんとか生きながらえてきた。「歴史なき民族」といわれる所以である。

戦争はこの均衡が破れるときに起こる。東欧の社会主義体制の崩壊も、ソ連と西欧との均衡が崩れたときに起こった。

緩衝地帯がないと均衡が崩れる東欧

しかし、それに代わる体制であるEUは安定装置として機能しているのか。ポーランドからクロアチアまで、なんとか今のところ機能しているのだが、それはウクライナという緩衝地帯が存在しているがゆえである。

その地域がEUに入れば緩衝地帯がなくなる。プーチンがウクライナの中立にこだわる理由はここにある。

理想論としては、どの国にもEUに入る自由はある。しかし歴史的、地理的、経済的にはそうした理想論は必ずしも通じない。ウクライナと並んでコソボ、セルビアもその問題で今も悩んでいる。

それは周りの大国がその地域の自主権を制限する、経済的、政治的、地理的条件を掌握しているからである。

19世紀のヨーロッパでもポーランドを緩衝地域とするという議論があった。ロシア帝国に対する防波堤としてポーランドを位置づけるというのだ。フランスやドイツの民主派はそれを主張していた。

20世紀になるとロシアはソ連になり、反共の砦、緩衝地帯としてドイツを位置づけることになり、それが最終的にヒトラー政権の第三帝国の拡大を生んだともいえる。禁句だが、ヨーロッパはナチスの拡大を容認してしまったのである。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事