EU欧州諸国に民主主義を語る資格がない現実 虚構の「ロシア脅威論」、ウクライナ戦争の早期停戦を

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世界の最高権力であるアメリカ大統領に再度返り咲いたトランプは、まさに怖い物なしの境地にいると思われる。就任後、矢継ぎ早にショッキングな政策を出し、人々を大混乱に陥れている。

イーロン・マスクを従え、アメリカのタブーであるUSAID(国際開発局)、CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、フォートノックス(軍保留地)を査察し、保険政策、移民政策、ウクライナ戦争を処理しようとするやり方は、もはや革命である。

トランプの巧妙なやり方

もっともこのやり方、2007年フランスでサルコジが大統領に就任したときと似ているともいえる。サルコジは、リビアに幽閉されていた看護師を救出したり、数兆円の契約を諸外国から取り付けたりと、就任早々、八面六臂の活躍であった。あれから20年近くがたった今、サルコジはカダフィ疑獄を含め、裁判に巻き込まれ、窮地に陥っている。トランプもそうなるのか――。

ウクライナ戦争に関して言えば、トランプは巧妙な手段を使った。ウクライナのゼレンスキーを支えているのは、資金を援助しているNATOである。そのNATOを支えているのは、アメリカである。第2次世界大戦後、対ソ戦略として創設したNATOに今もその70%近くの資金を提供している。

まずはNATOタダ乗り論をぶち上げ、NATO諸国に拠出金増額を求め、色よい返事がなかったので、アメリカのNATO脱退をほのめかす。

EU軍の構想を潰したのもアメリカなのだが、アメリカの存在しないNATOなど無力といわざるをえない。ヨーロッパ各地にアメリカ軍は基地を持ち、対ロシア防衛を担っているのである。

一方でプーチンと電話会談を進め、サウジアラビアのリヤドで米ロ会談を設定した。まるで2018年に米朝会談を実現させた手腕と同じだ。経済制裁をはじめとするロシアへの締め付けをやめようというのである。EUの頭越しに外交を進めたのだ。

さらにゼレンスキー政権には資金援助をしない旨を告げる。ゼレンスキーは2024年5月以降戒厳令を連発し大統領選を引き延ばしている点で、正規の大統領ではない。だから選挙をしろと政治的圧力をかけた。

ゼレンスキーへの支持率はウクライナの調査でも低迷している。トランプが5%しかないというと、ゼレンスキーは50%以上の支持があると主張する。しかし、一方で有力な対立候補である前大統領ポロシェンコなどを国家反逆罪で訴追しようと画策している。

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