大人にも役に立つ「東大生の頑張り方」工夫の数々 「頑張り始める前」に何をどう準備するべきか

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仮にうまくいかなかったとしても、具体的な目標であれば「どこが悪かったのか」を反省し、修正することが可能になる。だから、ステップ化が重要な意味を持つというのである。

テクニック2:時間制限をつくる

もうひとつのテクニックとして、著者は「たこ焼き型」で時間を考えることを勧めている。ポイントは、「もんじゃ焼き」との違いだ。

つまり、こういうことだ。

「もんじゃ焼き」の場合は、土手の完成後にすべての汁を一気に投入しなくてはならない。修正が効かないのである。しかし「たこ焼き」の場合は、それぞれの穴に目分量で生地を入れるため、ある程度の微調整をすることができる。

そこが重要で、時間の使い方にも同じことがあてはまるというのだ。

 つまり、それぞれのタスクに対して、何時間で処理するのかということを最初に決めてしまうのです。その日の作業時間全体の中からだいたい何時間ずつ(もしくは何分ずつ)割り振ることができるかということを考えて、これくらいの時間で終わらせるという時間を設定しておく方法です。
 ただし、この方法をとる場合には、かならずバッファとして余りの時間を設けなければなりません。計画というものは絶対にどこかで狂いが生じるものだからです。(78〜79ページより)

最初からカツカツなタイムスケジュールを組んでしまうと、予想に反してなにかの作業が伸びてしまったりしたとき、別の作業を早めて時間調整をしなければならなくなる。それは、うまくいかなくなる要因のひとつでもあるだろう。

しかし、最初から余裕を持っておいたとしたらどうだろう? もし間に合わなかったとしても、時間の貯金を崩すことによって全体として“差し引きゼロ”にすることが可能になるはずだ。

 生地が足りないたこ焼きに後から生地を足していくように、長引きそうならバッファの時間から継ぎ足して調整をするという方式になります。(79ページより)

この方法の利点は、タスクに制限時間をつけられること、さらには1日の見通しもある程度つけられることだという。

タスク処理の際の時間の使い方の基本は、「自分の調子を鑑みて、適切な時間に適切なタスクを配置する」こと。前もって、「このタスクにはどのくらいの時間がかかりそうか」予想だけしておくことが大切なのだ。

そうすれば、「このタスクは30分以内に終わるから、このあとすぐ、朝のうちに片づけよう」「これは長引きそうだから、最後に回して余った時間をすべて使おう」というように作戦を立てられるのである。

また制限時間があると、ダラダラしてしまうことも少なくなるだろう。たとえば「19時には絶対に出してね」といわれたとしたら、なにがなんでも19時までに終わらせられるように仕事を組み立てるはずだ。

 たこ焼きの型に生地を入れるように、「ここまで」というラインがあったほうが、人間は効率よく物事を終わらせることができるのです。(80ページより)

ある程度のラインが存在し、けれども足りない部分は埋め合わせをすることができる――。そんな「たこ焼き型」は、ネーミングの軽いイメージに反してなかなか有効な手段なのかもしれない。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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