「デヴィ夫人新党」の参院選挑戦が政界に波紋 犬猫愛護を訴え比例で複数議席の獲得狙う

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そもそも、政府など関係機関は「日本では犬猫の食肉習慣はないものの、国内では約50店が食肉を提供している」と説明しているとされる。この点についてデヴィ氏は「いちばんの目標は犬猫肉の食用禁止。我が国では関心が低いかもしれないが、近隣諸国では法律で禁止されてきている。国民のみなさまに理解され、禁止法が性急に成立されることを願っている」と力説する。

まさに異色の政党設立に、有識者の間でも様々な見方が出ている。ジャーナリストの岩田明子氏(千葉大客員教授)は「これまでもウクライナ電撃訪問とか凄く脚光を浴びることをやってこられた方で、既成政党と違うアクセスをするというところを強調していくと、ある程度の得票というのも期待できる」とする一方で、「やはり選挙は候補者。(議席獲得は)いい候補者を集められるかどうかにかかる」と指摘。

またジャーナリストの風間晋氏(元フジテレビ解説委員)は「ワンイシューというのと、SNSの拡散力っていうのは凄い親和性がある。しかも今回の選挙において2つ3つの議席をとるという意味においては、風を起こせばそういうことにもなり得ると思っている」など議席獲得の可能性は高いとの見方を示した。

「政治色ゼロ」で、“ノンポリ”有権者の獲得も

そもそも、ここ数回の国政選挙では、いまだに話題を提供し続ける立花孝志氏が代表を務めるNHK党(NHKから国民を守る党)を始め、人気作家の百田尚樹氏が代表の日本保守党、「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」をキャッチコピーに元吹田市議会議員の神谷宗幣氏が結党した参政党などが政党要件を確保して、既成政党の隙間を突く形で、独自の政党活動を展開している。

ただ、こうした「新興小政党」はそれぞれ濃密な政治的立場を背景に活動しているが、今回の「12平和党」には、「いわゆる政治色はほとんどない」(政治ジャーナリスト)。しかも、代表のデヴィ氏は「ベストセラー作家の百田氏に勝るとも劣らない知名度を持つだけに、政治嫌いな“ノンポリ有権者”が投票しやすい」(同)ことは否定できない。

このため、主要メディアの政治記者の間でも「もし、デヴィ夫人が参院議員となって党首討論などに参加する事態となれば、政治と一般国民の間合いを縮める一方、政治のエンタメ化も加速させる」(有力紙記者)などの複雑な受け止めが少なくない。それだけに、今回の“デヴィ新党”の登場は「従来の政党政治の在り方自体を問い直すきっかけになる可能性を秘めている」(閣僚経験者)ことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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