限界「ホワイトカラー」にしがみつく人への処方箋 『ホワイトカラー消滅』冨山和彦氏に聞く・前編

調整、分析…典型的なホワイトカラーから消える
――『ホワイトカラー消滅』とは衝撃的なタイトルです。日本社会で中心的位置を占めてきたホワイトカラーが、かつての武士のように消滅していくと見立てていますね。
ホワイトカラーは曲がり角に来ている。戦後出来上がった日本のホワイトカラーモデルは、終身雇用、年功制、一度会社に入ったらメンバーシップ制の中で身分が保障されるというものだ。いろんな部署を回らされたり、急な転勤に対応しなければならないが、30〜40年間、安定した待遇で働くことになる。
その仕組みは、ずっと同じゲームが続くならよかったのだと思う。つまり「大量生産、大量販売を基本とし、それを改良改善していって、メイドインジャパンで世界を埋め尽くす……」みたいなゲームが続くならよかった。しかし、世界は別のゲームで回るようになっていく。グローバル化、デジタル化が進み、付加価値の源泉はハードからソフトに移った。
まず、日本企業の停滞が起きた。それが日本経済の停滞につながり、加えてAI(人工知能)が出現した。AIは、もろにホワイトカラーの仕事をやってくれる。デスクワーク頭脳労働においては、本当にアッパーな、“使う側”の仕事は残るかもしれないが、調整、資料作り、調べる、分析するといった仕事を担う人、例えば販売管理部門のようないちばん典型的なホワイトカラーがいらなくなる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら