脱線車両を放置「いすみ鉄道」社内で何が起きた? かつてはローカル線再生の優等生だったのに

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そして、いすみ鉄道は、2023年1月25日付で関東運輸局より保線の不備についての行政指導を受けた。その後、いすみ鉄道は、指摘をされた項目についてはすべて改善措置を講じたとする趣旨の報告を関東運輸局に対して行っているが、この報告書の中でいすみ鉄道は、こうした状況が発生した原因について「対処方法や管理方法について十分理解していなかった」「計測業者からの検査報告書の確認を十分に行っていなかった」ことを理由に挙げており、鉄道そのものに対する理解不足が目立つ内容となっていた。

関東運輸局鉄道部の鉄道安全監察官に話を聞いたところ、「2024年6月にいすみ鉄道に対して保安監査を実施したところ改善できていない箇所があった」といい、この4カ月後となる10月4日に脱線事故が発生することになった。関東運輸局では、その後の「10月18日付で6月の保安監査に対する改善指示文書を送付した」というが、「いすみ鉄道側は自力では直せないと言っており、鉄道・運輸機構に技術的なアドバイスをもらいながら改善しようとしている」ほか、「事故現場に放置された車両についてもいすみ鉄道側では動かしてよいのかどうか判断できないようだ」と回答した。

2000年代に入り存続問題が浮上

いすみ鉄道は旧国鉄の特定地方交通線だった木原線を引き継いだ第三セクター鉄道で、国鉄分割民営化から約1年後となる1988年3月24日に開業した。

開業以降、慢性的な赤字が続き2000年代に入ってからは存廃問題が浮上する事態となったが、千葉県と沿線自治体で構成される「いすみ鉄道再生会議」では、2007年10月29日に「会社の経営努力や関係者が一体となった支援が行われれば、将来的に収支の均衡を図ることができるとの共通認識を得られたこと」「いすみ鉄道の再生に取り組み2008年度、2009年度を検証期間として、再生の方向性を客観的に判断する」と結論付けられた。

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