脱線車両を放置「いすみ鉄道」社内で何が起きた? かつてはローカル線再生の優等生だったのに

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国鉄形気動車キハ52形とキハ28形の運行で、ローカル線再生の優等生として全国的に注目を集めたいすみ鉄道で何が起きているのか、関係者を取材した。

脱線事故発生の3日後となる2024年10月7日、いすみ鉄道の古竹孝一社長は大多喜町役場で開いた記者会見の場で、脱線事故の原因について「枕木の経年劣化が原因」と言及し、車両ではなく保線の問題があったとの見方を示した。いすみ鉄道では2020年代に入ってから、保線の不備などについて国土交通省関東運輸局より複数回にわたって行政指導を受ける事態となっていた。

SNSで拡散された画像

まず、2020年12月10日付で「自動列車停止装置(ATS)の動作試験未実施」「車両検査未実施」など4項目について行政指導を受けた。この時の行政指導は、保線に関するものではなかったものの、すでにこのころから線路の劣化が目視でもわかる状況となっていたようで、そのことを心配した県民から「このままでは、いすみ鉄道で脱線の恐れがある」と千葉県総合企画部交通計画課に通報がなされた。この時、問題のある箇所などを指摘した詳細なレポートも県に提出されており、県はこの内容についていすみ鉄道に報告を行ったという。

さらに翌年の2021年11月4日には、いすみ市議会でも「いすみ鉄道の安全性」について、大曽根信太郎市議会議員(当時)から一般質問がなされたが、この質問に対していすみ市企画政策課の海老根良啓課長(当時)は、いすみ鉄道側から「運行に支障をきたす問題はない」という説明を受けたと答弁している。2022年の夏頃からは、犬釘が抜けて軌道パッドが飛び出しているいすみ鉄道の線路を撮影した画像などがSNS上でも拡散されるようになり、こうしたいすみ鉄道の問題が徐々に社会に認知されるようになっていった。

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