脱線車両を放置「いすみ鉄道」社内で何が起きた? かつてはローカル線再生の優等生だったのに
鳥塚社長退任後は、2018年11月から新たな公募社長として香川県の日新タクシー会長の古竹孝一氏が社長に就任した。しかし、いすみ鉄道を全国区の知名度に押し上げた国鉄形気動車については、現在ではすでに定期運行を終了している。こうした状況から、いすみ鉄道のファンからは「鳥塚社長が築いたいすみ鉄道の良さが失われてしまった」という声も絶えない。千葉県は2023年に「人気車両であったキハ28形が引退したことから、これに代わる後継企画等の新たな活性化策が必要」との考え方を示しているが、いまだ後継企画に関する発表は行われていない。
2024年10月に発生した脱線事故からの復旧についても情報が二転三転している。当初は10月中の運転再開を目指すとされていたが、いすみ鉄道は12月9日になり「復旧の長期化が見込まれること」を発表した。年が明けて古竹社長は「1月末にも運行再開に向けた具体的なスケジュールなどを発表する意向」であると報じられたが、結局1月末までにスケジュールは発表されなかった。
脱線事故の復旧費用は確保されているのに
いすみ鉄道本社が所在する大多喜町によるといすみ鉄道の復旧に関しては、最大3億円ほどがかかる見込みで、1億円を経営安定のための基金から取り崩して賄い、残りの2億円を県と沿線自治体で賄うという。千葉県はすでにそのための補正予算額1億円を計上している。
いすみ鉄道の脱線事故については、赤字に苦しむ鉄道会社が保線も十分にできないくらい疲弊しているという見方があるが、みなし上下分離方式により十分な予算が手当てされていることからそうした見方は事実ではなく、「鉄道に対する理解を深め保線に関する社内基準を統一することや、保線計画などについて行政側と綿密なコミュニケーションを取っていれば脱線事故は回避できた」と証言する関係者もいる。
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