脱線車両を放置「いすみ鉄道」社内で何が起きた? かつてはローカル線再生の優等生だったのに

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また、いすみ鉄道再生の一環として、検証期間の初年度となる2008年度から「みなし上下分離方式」の導入も決定された。これは鉄道インフラの維持を図るために、線路などのインフラ部分を道路などと同じ社会資本として捉え、それまでの赤字補填方式に代わり、線路保存費、電路保存費などインフラ的な部分の修繕費などの費用を県と市町が協調して補助するものとされた。

これによって、保線などに要する費用については、自治体側が責任をもって手当てすることが確約され、旅客収入等の部分については、会社の経営努力に対するインセンティブが働きやすい制度とされた。

かつてはローカル線再生の優等生

こうした中で、鉄道ファンを自認する鳥塚亮氏が2009年6月に公募社長に就任したことで、いすみ鉄道は全国区の知名度を誇る鉄道会社への道を歩み始める。まず、就任直後の10月には、ムーミン列車の運行を開始。これは限られた予算の中で、車両にムーミンのシールを貼り、駅にスタンプを置くというシンプルな企画であったが、SNSを中心に口コミで話題となり30代や40代の女性客が週末にいすみ鉄道を訪れるようになり乗客は約1.6倍に、売店収入は約4倍に達し、2010年度以降の存続が決定した。

さらに、2010年には訓練費700万円を自己負担することを条件に列車の運転免許を取得できる運転士採用プランを実施。その翌年の2011年から運行を開始した国鉄形のキハ52形気動車や2013年のキハ28形気動車は大きな話題を呼び、全国的な知名度を高めていった。こうした一連の取り組みにより、鉄道ファンを対象にした企画を鉄道会社自らが手掛けることが、鉄道活性化につながることを全国に強く印象付け、ローカル線再生の優等生として認知を広げていった。

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