東大生語る「アイス売れると水難事故増加」本当か 「因果関係」を正しく理解することが大切だ

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しかし人間の脳というものは勘違いをしやすいので、「Aが増えるにつれ、Bが増えている」という相関関係のデータを見て、「Aが増えた“から”、Bが増えている」のだという勘違いをしてしまうことがよくあるのです。

アイスが売れると水難事故増える?

因果関係と相関関係の誤認を注意する言葉に、「アイスが売れると水難事故が増える」というものがあります。

確かに、アイスの売り上げと水難事故の件数の推移をそれぞれグラフにして並べると、アイスの売り上げが多い時期は水難事故が増えていることがわかります。

これはつまり、「アイスの売り上げ」と「水難事故の件数」には、一方が増えるともう一方も増えるという正の相関関係があることを意味します。

※外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

東大カルペ・ディエム 西岡壱誠
総務省統計局、河川財団のデータを基に東大カルペ・ディエム作成

ここで、ちょっと考えてみてください。アイスの売り上げと水難事故の間に、「アイスが売れる“から”水難事故が増える」という因果関係があると思いますか?

普通に考えたら、そんなことはないとわかりますよね。アイスを買って食べたからといって水難事故に巻き込まれるわけではないし、反対に水難事故に遭った人がアイスを買うわけでもありません。

アイスの売り上げと水難事故の件数には、どちらにも共通して「夏に増えている」という特徴があります。

夏は気温が高いので、そこから「暑いから涼しさを求める人が増える→アイスの売り上げが増える」「暑いから涼しさを求める人が増える→水遊びをする人が増える→水難事故が増える」という2つの結果が生じているのです。

東大カルペ・ディエム 西岡壱誠
総務省統計局、河川財団、気象庁データを基に、東大カルペ・ディエムが作成

「夏の気温が高いこと」と「アイスの売り上げが増えること」の間には因果関係がありますが、結果同士の「アイスの売り上げ」と「水難事故の件数」の間には因果関係はありません。ただ、同じ時期に増えていて、数値上の増減に相関関係があるだけです。

「そんな当たり前のこと、言われなくてもわかるよ!」と思った方は多いかもしれません。しかし、私たちは無自覚のうちに、「Aが増えるにつれ、Bが増えている」という相関関係のデータだけを見て、そこに因果関係があるはずだ!と思い込んでしまう傾向にあるのです。

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