まるで鉄道模型?小さな列車「軽便鉄道」の記憶 線路幅の狭い「ナローゲージ」の懐かしい姿

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姿を消した軽便鉄道も、その跡をたどれる路線はいくつも存在する。保存車両や線路跡が残る鉄道を挙げてみたい。

車体幅約1.6mという細身の前面から「馬面電車」と呼ばれる電車が走っていたことで知られるのが岩手県の花巻電鉄だ。鉄道線と軌道線があり、馬面電車は軌道線の車両であった。宮沢賢治が利用したことでも知られる。宮沢賢治といえば、現在の釜石線のルーツとなった岩手軽便鉄道は「銀河鉄道の夜」のモチーフになったとして有名だ。

花巻電鉄 馬面電車
花巻市内で保存されている「馬面電車」モハ3。非常に細い車体が特徴だ(写真:なみきたかし)
【写真】本当に細い!現役時代の「馬面電車」の貴重な姿

福島県の日本硫黄沼尻鉄道は、その名の通り磐越西線の川桁駅と沼尻鉱山を結ぶ15.6kmの軽便だった。1968年に廃止されたが、最末期は非電化ながら「磐梯急行電鉄」と改称していた。沿線には今も駅跡、軌道跡が残り、磐梯山の麓にある猪苗代緑の村にはディーゼル機関車と客車が保存されている。

沼尻鉄道 保存車
沼尻鉄道の保存車両(撮影:南正時)

首都圏にあったSL軽便鉄道

首都圏にも軽便鉄道はあった。現在は新交通システムとなっている西武山口線は、かつてはれっきとした762mm軌間の鉄道だった。もともとは蓄電池機関車での運転だったが1972年以降は蒸気機関車が走るようになり、ドイツ・コッペル社製の古典SLが客車を牽いていた。

西武山口線 井笠鉄道 SL
西武山口線を走った井笠鉄道の蒸気機関車(撮影:南正時)

山口線では数両のSLが活躍したが、同線に貸し出されたSLのうち1両の出身が岡山県の井笠鉄道で、山陽本線の笠岡駅と井原駅間などを結んでいた非電化軽便だった。国道沿いの新山駅はしっかりと保存されており、同鉄道のコッペル機関車と客車が保存されているほか、駅舎内も当時のままに保存されているのはうれしい限りだ。

極めて短命だった軽便もある。九州の小浜鉄道は、小浜温泉や雲仙観光の足として活躍した路線である。愛野―肥前小浜間17.3kmが1927年に開業し、美しい海岸線沿いに湾内の漁村や雲仙普賢岳を望む路線だった。しかし、終点の小浜温泉街まであと2km残したところで資金が尽きて1938年に11年の短い歴史を閉じた。短命ながら、沿線には各駅跡、トンネル、ホーム跡が明確に残っている。

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