実は、中国は、この政治と企業との主導権争いを一歩先に1978年以降行ってきた。
しかし、いわゆる西側では、それがもっと暗黙的に、政治が明示的に対決するチャンスがないまま、なし崩し的にすでに敗北しているのだ。
そして、中国も、その政治と企業の戦いの真っただ中だが、1978年から始まった壮大なバブルが、この数年で急激に崩壊のリスクが高まっており、いや崩壊がすでに現在進行中で、アメリカが崩れたときに、世界経済のショックアブソーバー的な役割を果たせる状況ではない。
それどころか、西側への輸出が減ってしまえば、中国経済はバブル崩壊が決定的になり、社会的な大変革がもう一度起こらざるを得ない状況になる。つまり、アメリカと中国のバブルが同時に崩壊し、さらに両方の社会構造までもが同時に窮地に陥るのだ。
バブル、資本主義、社会の3つが同時に崩壊しつつある
これは、資本主義が減速して衰退する、資本主義の終焉プロセスにとどまらず、社会の危機になることを意味する。それは、不満と怒りのマグマがたまりすぎて、資本主義の崩壊ではすまなくなってしまっているということだ。
バブル、資本主義、社会の3つが同時に崩壊しつつある。そして、それが、今起きつつある気配は至る所にある。
まずバブルに関しては、トランプ関税で株価が右往左往する。あるいは、高々中国のDeep Seek(ディープシーク)のニュースごときで、AIや半導体関連株が暴落する。株価は乱高下を続けるが、上へ抜けることはない。些細なことで乱高下し、かつ頭を押さえられているというのはバブル崩壊寸前の典型的な兆候だ。
このなかで、静かに有力投資家たちは撤退しつつある。ビットコインですらそうだ。これだけビットコインに有利な政策の気配が打ち出され続けても、突き抜けずに、乱高下を続けている、ということは、暗号資産をこれまで推奨してきた人々が、静かにポジションを整理し続けている兆候に他ならない。リスク資産市場はすべて終わりだ。
そして、これだけトランプ大統領が横暴を働いても、それを阻止することで世界が団結するどころか、自分だけはその被害を免れたい、トランプ大統領に気に入られたいという行動を、企業だけでなく、すべての民主主義国の首脳も、そのアドバイザーたちも、メディアも、全員がとろうとしている。これは、民主主義の否定というより、良識ある人間としての行動規範をすべて失っているということだ。
現在のこのような社会を見れば、過去のすべての偉大な宗教家、教祖たちは、この世の終わりだと思うに違いない。やはり、実際に、この世の終わりが来ているのだ。
今回は、かなり情緒的な議論になったと思われるだろう。だが、目先の利害、局所的な合理性をなんとか見つけ出して、それにすがろうとしている人々、社会を見ていると、このくらい情緒的に扇動しなければ、人々は目を覚まさないのではないか、という危機感しかない(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら