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「御上先生」で考える"教科書の記述"を巡る問題 実際に教科書を作る難しさはどこにあるのか?

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――教科書検定によって、思想が偏ってしまうのではないか、という指摘に対してはどのようにお考えですか?

個人的には、別に教科書検定があるから思想が偏るということはないと思います。思想の偏りを是正するために教科書検定があると言ってもいいのではないか、と。

例えば教科書検定では、教科書は多くの人が読むものなので、いろいろな意見があるにもかかわらず、断定的に書いてしまうと、そこが指摘されるようになっています。

文部科学省から「断定的に書きすぎである」と指摘された場合は、表現を和らげたり、両論併記をする方向で修正することが多いです。

文部科学省と議論になるテーマ

――御上先生の第4話では、アメリカの教科書に原爆投下は仕方なかったと書いてある、というシーンがあります。日本の教科書における原爆の扱いや、文部科学省と見解が分かれるポイントなどはありますか?

作中の展開であるような、原爆投下の扱いで揉めたことはあまり聞いたことがないですね。でも、沖縄戦のときに日本軍の軍令で集団自決があったかどうかに関しては、教科書の記述を巡る経緯が新聞でも取り上げられました。

そのときはちょうど大江健三郎著『沖縄ノート』(岩波新書)に関して、「これは事実ではないのではないか」という訴訟(大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判)があったタイミングだったので、どのように教科書で記述するかについては相当な議論がありました。

――そのほかに、文部科学省と議論になったり、教科書の記述について揉めたりしたことはありますか?

基本的には、政府見解に沿っていれば揉めることはないんですよ。または、ある程度ちゃんとした学術書に書かれていることであれば、問題ありません。要するに、「根拠は?」と聞かれたときに、ちゃんと答えられればいい、という話ですね。

出典を載せて、引用している場合はそれを示します。教科書検定の際にも「根拠は?」と聞かれて、求められた資料を提出するということもありますね。

――領土問題に関してはどうですか?

領土問題に関しては難しい部分もあります。「竹島と北方領土に関しては領土問題だが、尖閣諸島は領有権の問題は存在しない」というのが国の立場です。「領土をめぐる問題」として尖閣諸島を扱うのはOKだけれど、「領有権が日本にあるのは確実なものであって、尖閣諸島については勝手に中国が主張している」というのが国としての立場なので、そのように記述しないとそこは指摘されます。

――教科書制作にはいろんな工程があり、厳格なチェックが通ったものが教科書として認定されているわけですね

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