渋谷サクラステージ"閑散"に見る「再開発の現実」 渋谷の再開発はもう失敗してしまった…のか?

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想いが先行? サクラステージは「中途半端」

ただ、先ほどから書いているように、どうもサクラステージには「ガラガラ」報道が絶えない。それはテナントが入り切っていないこともあるが、もう一つの要因としては建物自体の「中途半端さ」も大いにある。

端的にいって、「遊ぶ」「働く」「暮らす」がごっちゃになっていて建物全体のターゲットがあやふやな気がするのだ。それがある種の「失敗感」を生み出しているのではないか。

「住」が意識されているのはわかるが、実際にそこが住民目線で使いやすいか、といえばそうでもない。中層階に入るレストランは少し高めで、普段使いが気楽にできる値段ではない。

渋谷に住む人たちなのだから、高収入な人が多いのは間違いないだろうが、その分、家賃で出ていくお金も多いだろう。また、毎日、毎食高いもの、こだわったものを食べたいわけではないはずだ。

また同様に、オフィスワーカーの普段使いでも払いきれない。渋谷にオフィスを構える企業は儲かっているかもしれないが、会社員の懐に余裕があるとは限らない。

Greater Shibuya2.0は「遊ぶ」「働く」「暮らす」が重なっていることが特徴だったが、ある意味こうしたレストランは渋谷の「遊ぶ」、つまり観光客に向けられているのかもしれない(また、SHIBUYA サイドには時々に応じたイベントなども開かれていて、それも「観光客」向けだ)。

ただ、桜丘地区は渋谷駅の中心からは少し離れており、現状ではわざわざ見物に来る人も多くない。それにGreater Shibuya1.0で誕生した他のビルで「遊ぶ」の要素は満たされていて、わざわざ離れたこちらには来ないのではないか。

少し離れた桜丘まで人々が来るかどうか(筆者撮影)

「遊ぶ」要素を満たそうとして、結果的に「暮らす」要素も中途半端になっているのが、サクラステージの現状だ。

背景には、おそらく東急グループが思った以上に、「日本人が、貧しくなっている」ことがあるのではないか。インバウンド客に安易に媚びず、日本人にも来てもらおう、楽しんでもらおうと思った結果、響く層が限られた施設になってしまっているのではないか。

なんだか悲しい結論になってしまった感があるが、このように考えてみるとサクラステージは、Greater Shibuya2.0が悪い方向に作用してしまったのではないか、と思えてならないのだ。

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