「花のように飾れるおひな様」伝統と革新のかたち 少子化の時代 "自分用"のインテリアにも活路

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「日本の伝統文化として昔から引き継がれてきたひな人形の要素は、次世代につなげていきたい。そこで春蔵では、色彩は現代の住宅やインテリアに合わせて現代風に、着物の形や着付け、人形の制作技法は伝統を忠実に守り、再現しています」

例えば、近年では着物の重ねの枚数を省略しているひな人形もあるなか、春蔵のひな人形は重ねの枚数を省略せず、十二単を忠実に再現している。さらに「人形の上、正面、横のどこから見ても着物が一枚も重ならず、美しく見えるよう、細部までこだわりを持って制作している」という。

春蔵のひな人形
衣装は生地の選定から裁断、縫製、着せつけまで、全工程を一貫して自社の工房内で行うことで品質を維持している(写真:春蔵)

「ひな人形の形にもこだわりがあり、人形の芯の部分である木胴(もくどう)の削りから緻密に計算・調整し、頭・肩・腰が一直線になるように制作しています。また、腕や腰、脚までしっかり綿を詰め、人肌のような柔らかさやぬくもりを表現しています」

インテリアとして購入する人も

取り扱っているのは「殿」と「姫」の親王飾りのみで、屏風や小道具などとセットにして価格帯は20万円台が主流。一般的なひな人形と比べると高価格だが、「質の高いものを求めているお客さまが多く、色彩に惹かれて購入する方や、ひな人形ごとに打ち出している『花』や『宝石』などのイメージ、制作ストーリーに共感して購入する方が多い」という。

春蔵のおひな様
柄の出方を1ミリ単位で確認しながら生地の裁断、縫製、組み立てを行っている(写真:春蔵)

屏風やぼんぼりも、一般的なひな飾りとは異なりモダンなデザインで、飾ったときのバランスも計算されている。

そのため初節句用に購入する人はもちろん、自分用に購入する女性も多いという。「大型のひな人形から飾りやすいサイズに買い替える方や、生活に彩りを添えるためにインテリアのひとつとして購入される方もいます」

現在、春蔵の営業や広報も担当している祐希奈さんは、父の直人さんが作るひな人形を広めるべく、SNSでの発信にも力を入れている。どのような想いで仕事に取り組んでいるのだろうか。

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