経済戦争渦中の「石破首相訪米」は危険な賭けに 安倍元首相がトランプ氏と築いた関係は再現できない

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先週、外務省のシンクタンクである日本国際問題研究所が主催したグローバル・ダイアログでの短いスピーチで、石破首相は日米同盟の強化を約束した。しかしすぐに、ワシントンで「率直な議論をするつもりだ」と付け加えた。

石破首相は、安倍晋三元首相がトランプ氏と築いた親密な関係を再現できないことを知っている。アメリカの指導者は日本の話題になると常に安倍首相に言及するが、新しい日本の指導者は安倍首相の単なる延長線上にいるわけではないことにすぐに気づくだろう。

「石破首相のスタイルは安倍首相とは正反対で、お世辞を言うような人ではない」と、石破首相が定期的に出席する研究会に参加している日本産業パートナーズのリチャード・ダイク取締役は言う。

関税戦争はすでに始まっている

石破首相がどのような提案を持ってきても遅すぎるかもしれない。日本はすでに、トランプ大統領が仕掛けた経済戦争の事実上の標的なのだ。

トランプ大統領の誕生が日本に与える最大の影響について尋ねられた元外務省高官は、第1次トランプ政権との交渉に深く関わった経験から、「関税」と一言だけ答えた。

日本は今のところ、トランプの関税リストには入っていない。次点は欧州連合(EU)で、メキシコとカナダへの関税は1カ月間一時停止されただけだ。中国に課された10%の関税も、何らかの交渉につながるかもしれない。しかし、これらの一時停止が一時的なものであると判明した場合、日本はトランプ大統領が仕掛けた経済戦争の事実上の被害者となる。

日本が関税で直接打撃を受けないとしても、おそらく広範な世界共通関税という形で、この週末にメキシコ、カナダ、中国に対して発表された関税の間接的な犠牲者となっている。

国境を越えた25%の関税は、トランプ大統領の第1期目に交渉された貿易協定を事実上解体するものだ。その枠組みの中で、日本企業はメキシコとカナダの両方に何百もの工場を設立し、統合された北米のサプライチェーンを構築してきた。メキシコだけで約1300の日本企業が操業している。

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